「第32回日本医学会総会」の記者発表が2月21日、WEBで開催された。
本総会は、「医学のレジリエンス~みらいへの挑戦と貢献~」をテーマとして、大阪市内の中之島エリアで2027年4月23~25日に学術講演会(学術展示は同月22日から)を、うめきたエリアで3月20~28日に一般(市民向け)展示を行うことが予定されている。開催までおよそ3年となることを踏まえ、今回の記者発表では総会の概要や方向性について説明がなされた。
冒頭、あいさつした松本吉郎会長は、元日に発生した令和6年能登半島地震において、犠牲になられた方々に心からの哀悼の意を表すとともに、発災から現在に至るまで被災者に寄り添った報道を続けてきた報道関係者の方々へ敬意を示した。
その上で、2025年に大阪市で開催される大阪・関西万博のテーマが、医学・医療にも直結する「いのち」であることに触れ、同じく大阪で2年後に開催される本総会に対する市民の関心が今以上に高まり、時宜を得た開催になることに期待感を示した。
門脇孝日本医学会長は、医学に関する科学及び技術の研究促進を図り、医学・医療の水準の向上に寄与することを目的とした日本医学会の活動の中でも、最も重要な活動の一つが本総会の開催であると強調。「医学・医療を総合的に考える場は本総会以外になく、医療の倫理についてもディスカッションする大変重要な場ともなっており、全力で支援をしていきたい」と述べた。
続いて、第32回日本医学会総会の会頭を務める澤芳樹大阪大学名誉教授/大阪警察病院長が、本総会の会期や概要を説明。AI、IoT、ロボティクスなどの技術革新を核としたデジタル革命が進行し、医学・医療も大きく変わろうとしている中で、近年の地球温暖化や地球規模の環境汚染によって、歴史の転換点に立たされている人類が、「レジリエンス」の観点でより良い未来を選択していくことが重要になると考え、本テーマを総会のテーマに選んだと説明。「会期中には、ステークホルダーが一堂に会して医学・医療をめぐる未来像について広く分野横断的に討議し、レガシーを発信していきたい」とその意気込みを語った。
また、特別講演の演者として、カタリン・カリコ氏、ドリュー・ワイスマン氏、山中伸弥氏(決定)、山極壽一氏の登壇を依頼したいと考えていることを明らかにした。
新谷康同幹事長(大阪大学大学院医学系研究科呼吸器外科学教授)は、各委員会での準備状況を概説。その中では、(1)産業医セッション実施とサテライト会場の設置、(2)各分科会及び産業医の認定単位の依頼、(3)オンラインでの参加登録の実施、(4)一般展示はヘルスケアまでテーマを広げた体験イベントを実施、(5)X等のSNSの開設、(6)ダイバーシティの取り組みに関する学術プログラム、(7)働き方改革に関連した展示内容―などの検討を進めていることを報告した。