都道府県医師会特定健診・特定保健指導担当理事連絡協議会が3月4日、WEB会議で開催された。
宮川政昭常任理事の司会で開会。冒頭のあいさつで松本吉郎会長は、「少子高齢化が進むわが国においては、医療や介護に係る負担や生活習慣病対策は喫緊の課題である」と指摘した上で、令和6年度より、生活習慣病対策のベースとなる特定健診・特定保健指導の第4期が開始されることを踏まえて、各地域で保険者との協議やシステム改修への対応がなされていることに言及。「このような状況の中で取り組みを行う環境の整備のみならず、現状と課題等についての説明の機会を設ける必要があると考え、本協議会を開催するに至った」と開催趣旨を説明するとともに、本協議会で得た知識や内容の周知に関する協力を呼び掛けた。
引き続き行われた議事では、(1)第4期特定健診・特定保健指導の見直し、(2)健診データ標準化を目指す健診標準フォーマット開発の現状、(3)ベンダテスト実施にあたっての留意事項―について、それぞれ説明が行われた。
(1)では、堤雅宣厚生労働省保険局医療介護連携政策課医療費適正化対策推進室長が、特定健診・特定保健指導の現状に触れた上で、第4期の見直しについて概説した。
まず、特定健診における見直しに関しては、喫煙や飲酒の質問項目の修正や追加、中性脂肪の基準値に随時採血時の値を追加、医療関係者への情報共有を目的とした医療機関持参用文書(案)の作成等を検討しているとした。
また、特定保健指導では、評価体系としてアウトカム評価を導入する他、成果等の見える化を推進し、保険者等がアウトカムの達成状況の把握や要因の検討等を行うことによって、より質の高い保健指導を目指していることや、遠隔で行う保健指導については、評価水準等は対面と同等とすることなどの見直しが行われていること等を説明した。
更に今後については、メタボリックシンドローム該当者及び予備群を減少させる効果の有無等の検証の他、効率的・効果的な保健指導の好事例を収集して横展開を行うなど、さまざまな取り組みを検討していく必要があると強調した。
(2)では、吉田澄人日医総研主任研究員が、国民が乳幼児健診から後期高齢者健診までさまざまな健診を受けるに当たって、各健診データを一元的に管理し、長期にわたって適切な保健事業につなげる必要があることから、日本医師会と健診関係団体で構成する日本医学健康管理評価協議会において、健診標準フォーマットの開発・普及を進めていることを報告。健診標準フォーマットの特徴としては、①健診実施主体の間で健診結果データの相互利用が可能になる②健診機関では保険者ごとの健診結果データ作成が不要になる―ことを目標としているとした。
また、今後は、健診結果データ標準化共同センター(HASTOS)を介して健診結果データを提供することで、健診機関及び健診実施主体のデータの取り扱いをより効率的にすることを目指しており、より詳細な実証を進めていることを明らかにした。
(3)では、岡本青史社会保険診療報酬支払基金本部事業統括部長、植松賢国民健康保険中央会保健福祉部長より、社会保険診療報酬支払基金(以下、支払基金)及び国民健康保険中央会(以下、国保中央会)において、令和6年度からの第4期特定健診・特定保健指導の請求データが、処理システムで正常に受け付けられるか確認するためのベンダテスト実施の準備を進めていることを報告。今回の改正で追加された「尿検査」と「健診後早期の初回面接」の関連チェックを、サンプルXMLを用いて紹介するとともに、その他のチェック条件等については支払基金や国保中央会のホームページを参照するよう呼び掛けた。
その他、当日は支払基金における健診等データの接続試験についての報告もなされた。
その後の質疑応答では、今年度(第3期)に特定健診を受診し、新年度(第4期)に保健指導を受ける場合のデータ提出方法などに関する質問が出されたことについて、支払基金より、期をまたぐ場合には前期の方法で行う旨の回答が示された。
総括を行った茂松茂人副会長は、「特定健診・特定保健指導の実施率はまだ目標値に達していないが、令和6年度から開始する第4期において、目標達成に向けたさまざまな取り組みが実践されることを願う」と述べるとともに、国民のヘルスリテラシーを高め、セルフケア(自己管理)につなげる取り組みが求められているとして、その実現に向けた協力を求め、協議会は終了となった。