通勤に毎日新幹線を利用するが、3月16日のJRダイヤ改正によって車内の喫煙ルームが完全に廃止され、身近で完全禁煙環境を実感した。
現在20%台である日本男性の喫煙率も、私が小学生であった1960年代後半は80%超で、大半の家庭で父親はたばこを吸っていた。嗜好(しこう)品とされていたたばこは戦後の困窮した国家財政の大きな税収源であり、街角に多くのたばこ屋があった。しかし、1964年の『米国公衆衛生総監報告書』で喫煙が多くの疾病の原因になり得ると宣言。WHOも1970年に喫煙に注意喚起を促す世界保健総会決議を行い、世の中は禁煙に向かう。
国内でも、1976年に新幹線に禁煙車両が設けられ、たばこの健康被害が認知されだし、1987年には旧厚生省より『喫煙と健康問題に関する報告書』が出され、公共交通機関や公的機関内で徹底した分煙が進む。1997年の『厚生白書』では、喫煙の健康への悪影響と受動喫煙やニコチン依存が指摘され、2000年の『21世紀における国民健康づくり運動報告書』を境に、たばこの健康被害からあらゆる保護を目的とした対策が講じられるようになり、自治体でも路上喫煙防止条例施行が進む。
2003年施行の健康増進法では、人が多く集まる施設での受動喫煙対策が規定され、2020年の改正健康増進法によってついに多くの屋内施設が罰則付きで全面禁煙となり、身近ではタクシーや新幹線も分煙から完全禁煙となった。
ただし、ホテルの客室は除外され、禁煙室を選択しなければならない。また、公共の禁煙区域内での喫煙所設置も残念なことである。
(グリーン)