閉じる

令和6年(2024年)7月9日(火) / 「日医君」だより

会長への再選を報告するとともに、医師の偏在や過疎地域における医療課題等について意見を交換

 松本吉郎会長は7月4日に茂松茂人、角田徹両副会長と共に厚生労働省を訪れ、6月22日に開催された第156回日本医師会定例代議員会において、再び日本医師会長に選任・選定されたことを武見敬三厚生労働大臣に報告した。

 会談の中では、(1)インバウンドの増加に伴う訪日外国人への医療提供、(2)高齢の医師に支えられていることの多い山間部等における過疎地域の医療課題、(3)医師の偏在問題―について、どのような対応を取っていくべきか意見を交わした。

 会談の中で、武見厚労大臣と松本会長は(1)について、地域の医療提供体制は、当該地域の実情に応じて培われてきたとした上で、現在急速に人数が回復している訪日外国人に対する医療提供を併せて考えると、地域によっては対応し切れなくなる可能性を憂慮。両者は地域医療と訪日外国人医療並びに、訪日外国人を診る上で課題となる費用についても、保険診療と分けて考える必要があるのではないかとの認識で一致した。また、武見厚労大臣からは、民間の医療保険への加入を促すことにより、未収金問題に対応している海外の病院の例が参考になるのではないかとの考えも示された。

 (2)では、武見厚労大臣が、山間部等に代表される多くの過疎地域の医療が、数年以内に引退を迎える高齢の医師一名により支えられている現状を危惧し、その問題の対応には、医師偏在問題の解消が必須と強調した。これに対し松本会長は、当該医師が引退すると地域医療の担い手がいなくなり、その地域に人が住めなくなることを問題視。国民皆保険制度と過疎地域の医療を両立させるには、補助金等も活用したインセンティブ制度により、若い世代の医師が過疎地に赴きやすくすることも一つの方法ではないかとの認識を示した。

 また、両者は医師偏在問題を解消し、過疎地域の医療を安定的に支える方法として、中堅及びシニア世代の医師も含むローテーション等の派遣制度も有用ではないかとの認識で一致した。

 (3)では、松本会長は研修医の臨床研修プログラムに関し、医師多数県から医師少数県に、募集定員上限の5%を充てる広域連携型プログラムの実施が検討されていることに言及した他、かかりつけ医として活躍するには、ある程度の期間、地域医療に携わる経験が必要ではないかと指摘。更に、令和7年4月の制度開始に向けて議論が行われている「かかりつけ医機能報告」制度について、なるべく多くの医療機関に、手挙げにより参加してもらうことが必要と強調した。これに対し武見厚労大臣は、「日本医師会にはその知見を基に、地域医療のあるべき姿を提案してもらいたい」と要望。その他、両者は今後も地域医療の安定のため、厚労省と日本医師会とが協調していくことを確認した。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる