令和4・5年度会内委員会答申・報告書(全文は日本医師会ホームページ「メンバーズルーム」に掲載)
地域医療対策委員会はこのほど、今期の諮問「人口減少社会・新興感染症等を踏まえた地域医療提供体制の構築へ向けて」に対する報告書を取りまとめ、中目千之委員長(前山形県医師会長)から松本吉郎会長に提出した。
「2.かかりつけ医・かかりつけ医療機関とかかりつけ医機能のあり方」では、かかりつけ医機能報告制度が、かかりつけ医機能を有する医療機関とそうでない医療機関とを分断するようなものにしてはならないと指摘している。
「3.働き方改革の地域医療への影響」では、働き方改革が地域医療に関わる問題であると認識するばかりではなく、首長、行政、地方議会議員と認識を共有することを地域医師会に求めるとともに、住民に対する周知を行うよう提言している。
「4.人口減少下における医師確保・医師偏在対策」では、地域医療の担い手が少ないという問題には、強制的な手法ではなく、意識変容を促すことが必要であるとしている他、地域医療を維持するための好事例として福島県医師会の医業承継を紹介している。
また、「地域枠」については地域枠からの離脱予防に、丁寧な説明と継続的なキャリア形成支援、更に大学では、かかりつけ医の役割等の教育が必要であるとしている。
「5.在宅医療並びに外来機能報告・紹介受診重点医療機関について」では、「在宅医療」に関して、地方と都市部ではニーズが違うことも踏まえた上で、保険診療の要件と、医療計画の関係について明確にすることを要望。また、国に対してかかりつけ医による在宅医療を推進するよう求めている。
「紹介受診重点医療機関」については、「地方には、紹介受診重点医療機関になじまない200床以上の病院がある」「今後、紹介受診重点医療機関の要件が一般病床200床未満に引き下げられないよう注視する」「かかりつけ医機能を持つ医療機関とそれ以外を選別する制度にならないようにする」―ことが提言されている。
「6.第8次医療計画を踏まえた今後の地域医療構想」では、第8次医療計画で二次医療圏を見直すかについては、多くの地域で見直しは行わないが、疾病や診療科により医療圏の範囲は変わるため、行政に柔軟に対応するよう要請していくとの回答があったことを紹介している。
また、地域医療構想の実現のためには、都道府県医師会のリーダーシップと、行政及びアカデミアの連携とが必要であり、この連携を厚生労働省がバックアップする体制が望ましいとしている。