松本吉郎会長並びに釜萢敏副会長は7月23日、記者会見を行い、7月20日に投開票が行われた参議院議員選挙の結果を受けての見解を示した。
松本会長はまず、今回の選挙の結果、与党である自民・公明両党が、過半数の議席を確保することができなかったことについて、「こうした政治の変動は、私たち医療界にとっても極めて大きなインパクトをもたらす」と指摘。そのような厳しい状況の中で、特に都道府県・郡市区等医師連盟、医療・介護・福祉の関係団体などの多くの方々の支援の下、日本医師連盟が推薦した釜萢敏副会長が、自由民主党比例代表で当選した12名中第8位(特定枠を除くと6位)、医療・社会保障関係候補者7名のうちではトップの17万4434票余りを獲得して当選したことの意義を強調した。
その上で、医療・介護・福祉の現場は、従来からの医療費削減策に加えて、昨今の急激な物価高騰と人件費の上昇により、著しく逼迫した経営状況であり、現在は病院の7割、診療所の3割、介護施設等では6割が赤字かつ、その割合は更に上昇していることを説明。「今回の釜萢副会長の当選は、医療・介護・福祉の現場の声を国政に届ける上で、何よりも心強い成果である」と述べるとともに、「逼迫した医療機関等の経営状況を改善して頂くとともに、今後は医療政策の根幹に関わる議論を、より一層力強く推し進めて頂きたい」と期待を込めた。
また、(1)医師として、自民党から、埼玉県の古川俊治氏、岡山県の小林孝一郎氏、公明党の原田大二郎氏、川村雄大氏、更に、共産党の小池晃氏、参政党の岩本麻奈氏も当選している、(2)インバウンド需要の拡大に伴う外国人ツーリストの増加と、就労目的で来日する外国籍の方が増加傾向にあることにも関心が寄せられた―ことにも言及。(2)に関しては、政治的には自見はなこ参議院議員を中心に対応が行われており、日本医師会としても会内の「外国人医療対策委員会」でも検討を進めているとした。
最後に、松本会長は医師会活動においては、情報共有や相互理解、コミュニケーションなど、共に行動することが重要との考えを示し、引き続き日本医師会として、地域医師会や医療・介護・福祉の関係団体とこれまで以上に緊密な連携に努め、現場からの意見を汲み上げた上で、医療政策に反映するよう尽力していくとした。
続いて、当選を果たした釜萢副会長が今回の選挙を振り返って、都道府県・郡市区等医師連盟を始め医療・介護・福祉関係者からの支援に謝意を示すとともに、「その責任の重さを強く感じている」と述べた。選挙戦を通じて訴え続けてきた、医療・介護・福祉の厳しい現状については、「現在の仕組みは一度壊れてしまうと修復不可能になる」と危機感を示し、持続可能性の確保と、922万人の医療・福祉従事者の生活を守ることの重要性を強調した。
また、選挙戦を通じて、社会保障や医療・介護・福祉の切り下げ分を手取りの増加に充てるべきという意見があったことについて、自身の認識とは異なるとしつつも、国民にとって最も適切な対応や着地点に向けて、合意を形成する必要があると痛感しているとした。
その上で、釜萢副会長は今後の政権の動向が不透明な中でも、医師としての立場を守りながら、国民の健康と幸福な暮らしに貢献できるよう、常に真剣に考え、全力で取り組んでいく決意を示し、引き続きの支援を求めた。
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