中医協総会が7月17日、都内で開催され、厚生労働大臣からの諮問「医療DXに係る診療報酬上の評価の取扱い」に関する答申が即日取りまとめられるとともに、小塩隆士中医協会長から武見敬三厚労大臣(代理:塩崎彰久厚労大臣政務官)に手交された。
今回の答申は、医療DX推進体制整備加算及び医療情報取得加算の見直しに関するものとなっている。
令和6年度診療報酬改定において新設された「医療DX推進体制整備加算」については、施設基準に「マイナンバーカードの健康保険証利用について、実績を一定程度有していること(令和6年10月1日から適用)」とされていたことから、中医協において具体的な要件設定に向けた議論が行われてきた。
当日の議論の中で、長島公之常任理事は、本年12月に現行の健康保険証が発行終了となることを踏まえ、医療DX推進体制整備加算及び医療情報取得加算の見直しについて、(1)マイナ保険証の利用率に関しては、単純な平均値ではなく、全体の分布等を踏まえた実態を反映した適切な値を使うべき、(2)医療DXをしっかりと推進するためには裾野を広げることが最も重要、(3)全体の利用率を上げるためには、既に利用率が高い医療機関に加え、取り組んではいるが利用率が低い医療機関も、いずれも取り組みが更に加速するような要件設定が必要―であると指摘してきたことを改めて説明。
その上で、厚労省が示した、医療DX推進体制整備加算を3段階に構成し、マイナ保険証の利用率を徐々に引き上げていくとする案に賛意を示すとともに、ある程度の時期まで設定しておき、その先については、今後の状況を見て改定していくのが妥当であるとした。
医療情報取得加算については、令和6年12月から「現行の保険証の場合」と「マイナ保険証の場合」を一本化し、初診時・再診時ともに1点とする案が厚労省から提案された。長島常任理事は、支払側が加算自体の廃止を主張していることに対し、「この加算が標準的な問診票等を用いて情報を取得し、質の高い医療につなげるという趣旨で設けられていることを考えると、主張は全く受け入れることはできない。一定の点数を残すのが妥当だ」と強調した。
議論の結果、診療・支払両側が厚労省の見直し案(具体的な点数等は別図参照)を了承することになり、答申が取りまとめられた。
答申に当たって、診療側を代表して意見を述べた長島常任理事は、医療DXを更に進めていくに当たり納得できる内容となっており、日本医師会を始め診療側として、引き続き医療DXの推進の取り組みに全面的に協力していく考えを強調。一方で、マイナンバーカードを持っていない人や、持ち歩くことに抵抗がある人もいることから、現場の医療機関等は医療DXの対応に疲弊し、苦慮しているところが少なくないとその実状を改めて説明し、理解を求めた。
更に、マイナ保険証の促進が医療機関・薬局のみの責務とならないように、まず国が全力で全面に出て、更に保険者においても推進していくよう改めて求めた他、より多くの医療機関・薬局が本加算を届出・算定できるように、より分かりやすく丁寧な周知を厚労省に要請した。
なお、答申には(1)令和7年4月以降の利用率の実績要件は、本年末を目途に検討、設定する、(2)実態を十分に勘案した上で電子処方箋(せん)及び電子カルテ情報共有サービスの整備状況や運用の実態等を十分に確認した上で、評価のあり方及び必要な対応について検討する―旨の附帯意見が付けられた。