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令和6年(2024年)8月7日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

2025(令和7)年度予算要求要望について

 松本吉郎会長は8月7日の定例記者会見で、8月1日に参議院議員会館において武見敬三厚生労働大臣と会談を実施し、政府の令和7年度予算要求へ向けての要望書を提出したことを報告した。

 今回の要望は、7月30日に開催された第13回常任理事会において機関決定したもので、その内容は「概算要求」として、(1)医療DXの適切な推進のための予算確保、(2)地域医療への予算確保、(3)新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえた新興感染症等への予算確保―について取りまとめたものとなっている。また、「事項要求」としては「物価高騰・賃金上昇への対応」を求めるものとなっており、松本会長は、それぞれの重要課題について説明した。

 (1)では、国が提唱する医療DXの推進には、全国の医療機関等を結ぶオンライン資格確認を基盤とする全国医療情報プラットフォームを有効活用していくことが求められると指摘。そして、そのためには電子カルテ情報の標準化とともに、全国の医療機関に標準型電子カルテが普及することが必要であるとした。

 更に、このプラットフォームを医師が安心・安全に活用するには、サイバーセキュリティ対策の強化と、厚労省の施策である保健医療福祉分野の公開鍵基盤(HPKI)の活用が必要であるとして、医療DXの適切な推進のための新たな予算措置と現行予算の大幅な増額を求めた。

 (2)では、物価高騰への対応や人材確保のための処遇改善が更に求められる中で、「かかりつけ医機能を中心とした医療提供体制や地域包括ケアシステムの維持・充実のため、地域医療介護総合確保基金を始めとする支援策を強化する必要がある」と指摘。また、コロナ対応や令和6年能登半島地震への対応等を教訓とし、平時から地域での医療機能に応じた役割分担や連携を進めるとともに、「激しい人口変動、災害・感染症パンデミック等の有事に対応できる強靭さをもった医療提供体制を構築する必要がある」との認識を示し、そのための新たな予算措置及び現行予算の大幅な増額を求めた。

 (3)では、まず、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、経済・社会活動等、国家の成長を支えるあらゆる活動が安全・安心な医療提供体制の下に成り立っていることが証明されたとの認識を示した上で、第8次医療計画の「5疾病6事業」における新興感染症等対策の実施により、いかなる感染症のまん延が発生しても、感染症以外の医療も確保しつつ、必要な人に必要な医療を安定的に提供できる体制を構築する必要があるとして、これまでの新型コロナ感染症対策を踏まえ、平時から財源を確保し、施策の強化・拡充に資することを要求。更に、感染症パンデミック発生時には、補助制度の簡素化や迅速な交付等を求めている。

 また、医師偏在への対策としては、都道府県医師会、都道府県行政、大学等が一体となり、臨床研修修了後や地域枠義務年限修了後も、研修医に地域にとどまってもらうための取り組みへの柔軟な支援や、地域医療介護総合確保基金の拡充とそれ以外の補助事業の拡充などを求めている。

 「事項要求」としての「物価高騰・賃金上昇への対応」については、光熱費等を始めとする物価高騰は、賃金上昇とも相まって、公定価格により運営する医療機関や介護事業所等にも大きな影響を及ぼしていると指摘。6月21日に閣議決定された「骨太の方針2024」の本文においても、「日本経済が新しいステージに入りつつある中で、経済・物価動向等に配慮しながら、各年度の予算編成過程において検討する」と記載されていることに言及。物価高騰・賃金上昇には補助金や診療報酬など、あらゆる選択肢を含めて機動的に対応を講じることを求めるとともに、今年度の補正予算でも併せて対応するよう、引き続き政府、与野党に要望を行っていくとした。

 その他、当日の会見で松本会長は、本年7月末日時点の日本医師会の会員数が177,170名となり、昨年12月1日時点より約1,200名、昨年7月末日時点より約2,900名増加し、過去最大となったことを報告。今後も組織強化を推進していく意向を改めて強調した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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