日頃、臨床研修協力型病院として、初期臨床研修2年目の若い先生と接する機会がある。年に10人程度、1人1カ月間指導している。その際、次年度以降、どのような進路を考えているかを必ず聞くようにしている。
制度上、研修2年目になると、ほとんどの研修医は既に3年目以降の進路を決めているようである。現在の研修医制度がスタートして20年になるが、研修医のキャリア形成についての考え方に変化を感じている。あくまでも個人的な印象であるが、診療科目の選択条件としてワークライフバランスを重視している研修医が増えている。
また、転職の際にエージェントを利用する医師が少なくないようであるが、専攻医としての就職先探しにエージェントを利用する研修医も散見される。現在、医師不足の大きな要因として、地域・診療科偏在が問題となっているが、高収入で時間外労働のない都市部での仕事に人気がある。
しかし、このような流れに進む若い医師の間でも、既にレッドオーシャンの市場との認識も広がり始めているのも事実である。働き方改革において「医師も労働者である」と再認識され、昭和、平成初期の労働に戻すべきではないと考えるが、好待遇のみに誘導されるのではなく、医師としてのやりがいを感じる環境づくりが重要と考える。
既に女性医師、開業、承継など、さまざまな支援が行われているが、関係組織が連携して総合的に医師のキャリア形成に関与できないものかと考える。
(榮)