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令和7年(2025年)1月20日(月) / 日医ニュース

ブラックジャック

 美術館に「ブラックジャック展」を観に行った。ブラックジャックの240余りのエピソードが原画やパネルで紹介されており、鑑賞に2~3時間が掛かる。それでも多くの客で混み合っていた。
 劇画ブームの影響を受け、1973年11月に虫プロが倒産。それから間もなく始まった「ブラックジャック」は手塚先生にとっては起死回生の作品となった。題材は「医療」。主人公のブラックジャックは無免許の天才外科医であり、治療に対して多額の報酬を求める、漫画では前例のないキャラクターの設定であった。
 ブラックジャックは必死で生きようとする者、必死で他人を助けようとする者には限りなく優しいが、権力にくみする者、体面を取り繕う者、他人の命を軽んずる者には容赦なく多額の報酬を請求する。
 また、「ブラックジャック」の中では命を救う場面だけでなく、いかに死ぬかが描かれている。ブラックジャックがただ一人尊敬する、命の恩人である本間丈太郎医師の「人間が生き物の生死を自由にしようなんて、おこがましいと思わんかね」も考えさせられる名言だった。
 ブラックジャックの中では、とても考えられない非現実的で不可能な手術が成功する。現実ではあり得ないが、漫画ではそれが許される。その中で出てくる生死の物語や名言にさまざまなことを考えさせられた。
 医師偏在、外科医不足の中、学生時代にブラックジャックを読み、外科医に憧れ外科医になった自分を「ブラックジャック展」を観ながら懐かしく思い出した。

(禿)

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