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令和7年(2025年)1月20日(月) / 日医ニュース

4月の公益法人制度改革に向け変更点などを説明

4月の公益法人制度改革に向け変更点などを説明

4月の公益法人制度改革に向け変更点などを説明

 都道府県医師会公益法人制度改革担当理事連絡協議会が昨年12月13日、WEB会議により開催された。
 本協議会は、令和7年4月の公益法人制度改革に向けて開催されたもので、当日は、内閣府公益認定等委員会事務局と公益財団法人公益法人協会より制度の変更点などについて説明があり、その後の質疑では活発な意見交換が行われた。
 城守国斗常任理事の司会で開会。冒頭あいさつした松本吉郎会長は、令和7年4月からの公益法人制度改革を見据え、公益認定を受けた医師会が、法令等を遵守した適切な組織運営を行えるよう、公益法人としての役割、運営を正しく理解し、行動を徹底することを求めるとともに、「公益認定を受けていない医師会においても、所管する公益法人たる郡市区等医師会への対応の他、医師会が社会的な信頼に基づき運営されていることに鑑みれば、今回の公益法人制度改革の概要を理解することは、今後の会務運営に有意義である」と強調。公益性や法的透明性の確保、更には、ガバナンスの強化等を理解すること等を通じて、社会的信頼の向上等を目指した組織運営を見つめ直す機会となるよう期待を寄せた。
 議事ではまず、大野卓内閣府公益認定等委員会事務局(公益法人行政担当室)次長が、「2024年公益法人制度改革で何が変わるのか」と題して講演。明治31年にできた旧公益法人制度が平成20年に現行の公益法人制度に改革され、更に、約9700ある法人から民間の活力を引き出し、ガバナンスの向上を図るため、令和6年に法改正、7年4月の施行により新しい公益法人制度となるとした。
 改正のポイントとしては、(1)財務規律の柔軟化・明確化、(2)行政手続の簡素化・合理化、(3)自律的ガバナンスの充実、透明性の向上―を列挙。
 (1)については、財務規律のうち、現行のルールが厳しいとされていた収支相償原則と遊休財産規制をより柔軟な方向に見直すものであるとし、単年度の事業収入と費用を比較して黒字が出たら2年間で解消しなければならないという「収支相償」は、「中期的収支均衡」として、黒字を5年間で解消(過去4年間で赤字があれば通算可能)することが可能になるとした。
 また、使途不特定財産の保有の上限を公益目的事業費の1年分とする「遊休財産規制」を見直し、「予備財産」として、公益目的事業を継続するための必要な財産を、必要性や必要額等を法人自ら公表することで確保できるようになることを説明した。
 (2)については、収益事業を変更する場合において、廃止や新規追加、内容の変更など公益目的事業の該当性に変化がないことが明らかであれば、変更手続きを事前の「認定」から事後の「届出」に簡素化するものであると概説。
 (3)については、自律的ガバナンスの充実として、外部理事・監事を少なくともそれぞれ1名選任することが求められるようになるとともに、透明性向上として、公益目的事業・収益事業・法人運営に区分した経理が義務付けられることを強調。「その財務諸表と、ガバナンスへの取り組みを記した事業報告などの定期提出書類は、行政庁がホームページで公表することになる」と述べた。
 続いて、松岡かおり常任理事の司会の下、竹井豊公益法人協会理事・業務部長が「公益法人制度改革への具体的な対応」と題し、改正点の実務的取り扱いを詳説した。
 外部理事に関しては、①当該法人またはその子法人の業務執行理事または使用人ではなく、かつ、その就任前10年間に当該法人または子法人の業務執行理事または使用人であったことがない②公益社団法人である場合はその社員でない―などの要件を満たす者であるとし、外部監事に関しては外部理事以上に外部性を求める要件となっていると強調。また、定款の改正等が必要なケースも出てくるなどの注意を促した。
 情報開示に関しては、①役員報酬等②法人関係者との取引③海外送金に係る情報―についても必要となると説明。①は現状の「役員報酬規程・理事・監事等の報酬等の総額」に加え、「2000万円超の報酬・給与を受ける役員について金額及びその額とする理由」も公表するよう見直されたとした。
 事業報告に関しては、令和6年の認定法の改正により、「各事業年度における公益目的事業の実施状況」と「当該公益法人の運営体制の充実を図るための取組」も記載しなければならないこととなったとし、公益目的事業の成果や評価、自発的なガバナンスに関する取り組みも記載することが望まれるとした上で、「特に医師会においては委員会活動の記載が好事例である」と述べた。
 その他、平成20年公益法人会計基準を採用している移行法人においても、新たな公益法人会計基準の適用を受ける(3年間の経過措置有り)として、同会計基準の見直しの考え方や運用指針の留意点等について説明があった。
 質疑応答では、外部理事・監事の要件に関する質問が相次ぎ、大野内閣府公益認定等委員会事務局次長は「法人法上の業務執行理事(監事の場合は理事)または使用人、社員等は外部理事・監事になれないが、法律上、会員までは縛っていない形となっている」と回答した。

お知らせ
 都道府県医師会公益法人制度改革担当理事連絡協議会の模様は、日本医師会ホームページ内のメンバーズルームに掲載していますので、ぜひ、ご活用下さい。
 なお、視聴のためにはユーザー名とパスワードが必要となりますので、ご不明な方は事務局までお問い合わせ下さい。
https://www.med.or.jp/japanese/members/flv_movie/20241213koueki/

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