昨年の4月初めに警察から電話があり、「検案をお願いします。今年度は先生のところが当番です」と言われた。
私の所属する郡市医師会で、検案システムが変わったのは10年前だった。それまではかかりつけ医か、2人のベテラン医師が担当していたものの、かかりつけ医はなかなか都合がつかず、ほとんど2人の医師で回していたが、1人の先生が10年前に亡くなられた。その際、もう1人の先生は、「自分1人だけでは厳しいので、毎年2医療機関が交代で当番に当たり、三つの医療機関で担当しましょう」と提案された。その結果、年配の開業医から順番に割り振られて、私のところは10年後に決まった。
夏場の腐乱死体、正月には連日の電話など、決して楽だったとは言えないが、体制が10年前とは雲泥(うんでい)の差だった。以前は夜中に現場で検案していたのが、今回は診療前、朝7時くらいに警察署の一角で検案する。
現場の写真や服薬状況、前日の様子や家族構成、戸締りの様子などなど、1冊のファイルにまとめられていた。難しい例や現場での検案が必要な例は、ベテランの先生が担当されているそうだ。「これだけまとめるのは大変でしょう」と警察官に聞くと、「いえいえ、以前は検案して下さる先生を探すのに何時間、下手(へた)すると何十時間も掛かったので、随分と助かっています」との返事。
当院の場合、11カ月で49例の検案をしていた。賛否両論があるかも知れないが、今のところうまく機能しているようである。
(グレートさくら)