松本吉郎会長は9月11日、高橋英登日本歯科医師会長、岩月進日本薬剤師会長並びに二度の厚生労働大臣などを歴任した田村憲久衆議院議員と共に厚労省を訪れ、福岡資麿厚労大臣へ要望書を提出した。
当日提出した要望書は、(1)医科歯科医療機関、薬局等における賃金・物価の上昇等への今年度中の対応、(2)オンライン資格確認の機器更新費等の補助―を求める要望書の二つ。
(1)では、公定価格で運営されている医科歯科医療機関、薬局等は、2年に1度の診療報酬改定では、令和7年度の最低賃金(+5.97%)や、人事院勧告(+3.62%)、2025年春季労使交渉の平均賃上げ率(5.26%)等に対応できるような状態ではないとした上で、1.補助金による早期の適切な機動的対応2.診療報酬による安定的な財源の確保3.令和8年度診療報酬改定前の期中改定―を求めた。
また、(2)では、オンライン資格確認に用いる「オンライン資格確認端末」と「顔認証付きカードリーダー」について、早期に導入した医療機関・薬局等においては保守期限を迎えつつあることから、近年の物価高騰の影響を受けた機器の更新費用が発生することが負担となり、これを機に閉院を考える医療機関・薬局等が多く出てくることが想定されると指摘。機器の更新・入れ替えに伴う費用については、医療情報化支援基金等によって全額補助を行うよう要望した。
要望書提出後の会談の中で松本会長は、閉院や倒産が相次ぐ医療機関・薬局等の窮状を訴え、補助金と診療報酬両面からの対応を求めるとともに、オンライン資格確認の機器更新に当たっては、更新費用の全額補助を要望した。
また、賃金・物価上昇への対応については、「どこかを削減してどこかへ充てるという対応をしている状況ではない」と強調した。
岩月日本薬剤師会長は、「公費で運営している医療機関・薬局等にも、最低限、人事院勧告と同じ基準は認めて頂きたい」と主張した。
オンライン資格確認の機器更新について、高橋日本歯科医師会長は、オンライン資格確認導入時のイニシャルコストを理由に歯科医院の閉院が増加したことを説明し、「偏在が進んでしまわないためにも補助をお願いしたい」と要望した。田村議員は、機器の更新費用を要望することについて、「そもそも診療報酬等が足りていれば要望の声は挙がってこない」と指摘した。
三師会からの要望を受けて、福岡厚労大臣は、現場への支援を早く届ける施策を検討する意向を示すとともに、「政局がどのように変わるか分からない状況ではあるが、次につなげられるように弾込めはしっかりとしていきたい」と述べた。
問い合わせ先
日本医師会総合医療政策課・情報システム課 TEL:03-3946-2121(代)