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令和7年(2025年)12月5日(金) / 日医ニュース

各地で看護師等養成所の定員割れが深刻化 国と自治体に対応を強く求める

 日本各地で、医師と共に地域医療を支える看護職の不足が、今後更に深刻化することが見込まれる。
 日本医師会が本年5月に行った「令和7年 医師会立助産師・看護師・准看護師学校養成所調査」(調査結果は日本医師会ホームページ参照)でも、その深刻さが明らかとなっている。
 調査結果https://www.med.or.jp/dl-med/chiiki/kango/survey_R0705.pdf
 准看護師課程では令和7年度の募集停止は15校に上った。応募者の減少は止まらず、平均倍率は0・6倍、定員充足率も平均53%にまで低下し、ほとんどの学校で定員割れという厳しい状況となっている。
 看護師2年課程では令和7年度の募集停止は5校(うち3校は令和6年度より停止)。定員充足率は平均58・5%と昨年の66%から一段と低下した。
 看護師3年課程においても、応募者の減少を背景に募集停止を決めた養成所が出ており、平均倍率は1・1倍、定員充足率は平均75%となっている。
 これらの状況を踏まえて長島公之常任理事は、10月27日に開催された社会保障審議会医療部会でこの問題に言及。「地域に密着した医療機関が重要になる中で、各地の養成所を卒業した医療関係職種の方達は地元定着率が高く、地域に根差して大切な役割を果たしているにもかかわらず、各地で養成所の閉校が相次いでおり、これまでと次元が異なる状況だ」として危機感を表明。
 その上で、「医師会が多額の赤字を補填(ほてん)して運営するのは限界に来ており、公立化や、少なくとも自治体の財政支援が必須だ」と述べるとともに、厚生労働省に自治体への働き掛けを要請。加えて、補助金に関して、物価高や人件費の上昇に対応するための増額と共に、複数の学校が一緒になって運営するサテライト化を検討している場合、補助金が1校分となってしまうことがネックだとして、サテライト用の補助単価を示すことなどを要望した。
 また、医療従事者の業務内容と重い責任に見合う賃金水準にならなければ、医療従事者を目指す人を増やすことは困難とし、今後医療従事者の確保策を実施していく上でも、需給見通しの策定は必須との考えを示し、理解を求めた。
 日本医師会では、今後も看護職不足を深刻に受け止め、あらゆる機会を通じて、国にその対応を求めていくことにしている。

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