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令和8年(2026年)1月5日(月) / 日医ニュース

「多様化する社会の中で母体保護法指定医師が考えるべきこと」をテーマに開催

「多様化する社会の中で母体保護法指定医師が考えるべきこと」をテーマに開催

「多様化する社会の中で母体保護法指定医師が考えるべきこと」をテーマに開催

 令和7年度家族計画・母体保護法指導者講習会が昨年12月6日、日本医師会館大講堂で開催された。
 開催に当たりビデオメッセージによりあいさつした松本吉郎会長は、産科機能の集約化などによって安心して出産できる場所がなくなることや、地域の周産期医療を担う産婦人科医療機関が崩壊することはあってはならないと強調。日本医師会としても全ての地域で安全で質の高い産婦人科医療が安定的に提供される体制づくりのため、国や自治体、関係機関等と連携して取り組んでいく考えを示した。
 今回の講習会のテーマを「多様化する社会の中で母体保護法指定医師が考えるべきこと」とした背景については、「現在厳格な管理が求められている経口妊娠中絶薬の使用条件の緩和に向けた動きや、本年8月に了承された緊急避妊薬のスイッチOTC化に際しては、販売を行う薬局等と産婦人科医による連携体制の構築が求められるなど、母体保護法指定医師の関与が今後ますます重要になってきていることがある」と説明。これらの問題について活発な議論が行われることで、講習会が実り多きものになることに期待を寄せた。
 引き続き行われた講演では、まず、石谷健日本産婦人科医会常務理事/日本鋼管病院婦人科部長が子宮形態異常等、手術リスクのあるケースに経口妊娠中絶薬は有用であり、その導入によって、手術合併症率や麻酔事故数が減ることが期待されると指摘。その使用によって成功率を上げるコツとしては、「中絶薬の使用開始時の妊娠週数は可能な限り早い方が良い」「中絶の意思が固まっているなら、可能な限り早期に中絶薬の使用を開始する」などが挙げられるとした。
 また、無床診療所への適応拡大に向けて、流通管理報告体制等のデジタル化、経口妊娠中絶薬に関する義務講習の実施などの準備が進められているとして、その内容を概説。受講者に対しては、「時間外対応、追加緊急手術・処置の体制と価格設定、高次施設との連携、院内待機方法等の整備などに関して、各施設で収益と負担のバランスを考慮しながら、経口妊娠中絶薬導入の検討をして欲しい」と呼び掛けた。
 濱口欣也日本医師会常任理事は、緊急避妊薬が要指導医薬品として承認されるまでの経緯を概説した上で、販売する薬局等には(1)研修修了薬剤師が勤務している、(2)プライバシーへの十分な配慮、緊急避妊薬を服用するため飲料水の確保等に対応できる体制を整備している、(3)近隣の産婦人科医等との連携体制を構築している―ことなどが求められていると説明。連携の際の産婦人科医の責任の問題に関しては、薬局から紹介された患者を診た時点からの責任となることを明確に示すよう、厚生労働省に要望しているとして、理解を求めた。
 その他、最近のトピックスとして、「多胎減数手術」「人工妊娠中絶を行う際の配偶者の同意の問題」「人工妊娠中絶の胎児条項」などの問題に言及。平成19年に取りまとめられた日本医師会「母体保護法等に関する検討委員会」の答申に示された見解を紹介しながら、引き続き国民的な議論を深めていく必要があるとの考えを示した。
 田中彰子こども家庭庁成育局母子保健課長は、(1)プレコンセプションケア、(2)人工妊娠中絶をめぐる最近の動き、(3)旧優生保護法に関する最近の動き―について解説。(1)については、①概念の普及②相談支援体制の充実③専門的な相談支援体制の強化―の3点を柱とした「推進5カ年計画」を令和7年5月に策定し、政策を進めているとした他、「概念の普及に関する役割を果たす『プレコンサポーター』の養成講座を開設したので、多くの方に受講して欲しい」と述べた。
 (2)に関しては、経口妊娠中絶薬が薬事承認されたことを受けて、実施報告票も改正されているとして、注意を呼び掛けた。
 また、(3)については、旧優生保護法補償金の請求者が減っているとして、受講者に対して、旧優生保護法に関連した資料や記録の保存、認定請求する人の診断書作成への協力を求めた。
 その後の討議では、「プレコンセプションケアに関する教育をいつ行うべきか」「緊急避妊薬が要指導医薬品として承認されたことによる薬局等との連携に当たっての医療機関の責任の問題」などについて活発な議論が行われた他、「多胎減数手術」「人工妊娠中絶を行う際の配偶者の同意の問題」に関する意見も出された。

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