閉じる

令和8年(2026年)3月25日(水) / プレスリリース

「有料職業紹介事業の適正化とハローワークの機能強化に関する要望書」について

 松本吉郎会長は3月24日、四病院団体協議会の役員と共に厚生労働省を訪れ、上野賢一郎厚労大臣に「有料職業紹介事業の適正化とハローワークの機能強化に関する要望書」を手交しました。

 今回の要望書は日本医師会と四病協で設けたワーキンググループで取りまとめた報告書を基に、特に優先して取り組んでもらいたい事項をまとめたもので、要望書の全文は下記のとおりとなっています。

 

令和8年3月24日

厚生労働大臣
上野 賢一郎 殿


公益社団法人 日本医師会
会長 松本 吉郎
四病院団体協議会
公益社団法人 日本病院会
会長 相澤 孝夫
公益社団法人 全日本病院協会
会長 神野 正博
一般社団法人 日本医療法人協会
会長 伊藤 伸一
公益社団法人 日本精神科病院協会
会長 山崎  學


有料職業紹介事業の適正化とハローワークの機能強化に関する要望書


 医療界におきましては、2010年代初頭より、有料職業紹介事業に係る高額な紹介手数料やお祝い金の提供を背景とした早期転職勧奨等の諸問題について、貴省に対し実態調査の実施及び是正措置を要望してまいりました。
 貴省におかれましては、この間、金銭等の提供や2年以内の転職勧奨の禁止といった規制に加え、適正事業者認定制度の創設、紹介手数料や離職者数に関する情報公開の義務化など、当該問題の改善に向けご対応いただき、またハローワークにおいても医療・介護分野の人材確保に力を入れ、新たな取り組みも実施していただいていることに、深く感謝申し上げます。
 しかしながら、現在、医療機関の経営状況は一段と逼迫しており、とりわけ有料職業紹介事業等に係る過大な紹介手数料は経営悪化に拍車をかけ、医療機関の持続性を揺るがしかねないほど大きな負担となっています。また、依然として早期離職の問題も指摘されており、現場からは対応を求める切実な声が寄せられています。
 このような現状を踏まえ、日本医師会および四病院団体協議会では、有料職業紹介事業等の適正化ならびに公的な無料職業紹介事業の一層の活性化・利用促進は喫緊の課題と捉え、ワーキンググループを設置し検討を重ねてまいりました。検討結果は添付の報告書に詳述しております。
 今般、報告書の要望のうち、特に優先して取り組んでいただきたい事項を下記の通り取りまとめました。貴省におかれましては、本趣旨をご理解のうえ、格別のご対応を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。




【重点要望事項】

1.高額な紹介手数料への緊急的対応
 ①紹介手数料の上限規制の導入
 医療機関は非営利性を原則としており、その収入は保険料や税金といった公的財源を原資とした公定価格であるため、採用コストを転嫁することができません。紹介手数料について適切な対応を講じない場合、今後さらに上昇する可能性があり、個々の医療機関のみならず、地域の医療提供体制の持続性をも脅かすおそれがあります。
 医療・介護分野における職業紹介事業について、紹介手数料の上限規制の導入を要望いたします。

 注:上限を高く設定した場合は、高い水準に収れん・固定化するリスクがある一方、過度に低く設定した場合は、現場の体制維持が困難となるおそれがある。こうした点にも配慮した制度設計を要望する。

 ②早期離職に係る返戻金制度の義務化と返戻水準の標準化、離職動向のさらなる見える化
 医療・介護分野の有料職業紹介は、他分野に比べ6か月以内の早期離職が多く、また返戻期間経過直後の離職も少なくないとの声が寄せられています。医療機関側にも離職防止の取り組みが求められる一方で、マッチングの質に起因する離職もあり、医療機関側のみが経済的損失を負担するのではなく、紹介事業者も離職リスクを分担する仕組みが必要と考えます。現状では、返戻金制度を設けている場合でも、返戻率は早期から大きく低下する場合が多く、十分とは言えません。
 早期離職に係る返戻金制度の義務化と、返戻水準(期間、率)の標準化についてご検討くださいますようお願いいたします。
 また、「人材サービス総合サイト」では「6か月以内の離職者数」が公表されていますが、6か月の返戻期間を経過した後の離職の実態が把握できない状況です。事業者の選択に資するため、「6か月以上1年以内の離職者数」の報告を新たに義務付け、一層の見える化を図っていただきますようお願いいたします。


2.法令の遵守等について
 ①転職勧奨の禁止及び適正な広告・広報の徹底
 自らが紹介した就職者に対し2年以内に転職を勧奨することは禁止されていますが、現場からは依然として懸念が寄せられています。指針遵守の徹底を指導していただくようお願いいたします。
 あわせて、転職を濫りに助長する不適切な広告表現や過度な広報活動が行われないよう、国および業界団体において適正な広告・広報ガイドラインを整備していただくよう要望いたします。

②職業安定法上の手数料明示義務の実効性確保
 職業安定法第32条の13に基づく手数料の明示が、有料職業紹介事業者から求職者に十分に行われていないとの指摘があります。手数料表の提示のみでは、求人者が負担する手数料の仕組みや水準が理解されにくいため、個別かつ具体的な金額を提示することを要望いたします。求職者が手数料の実態を理解することで、責任意識が高まり、安易な離職の抑制にも寄与すると考えます。

③定期的な指導監督の実施、悪質事例・トラブル事例の公表
 2023年~2024年にかけて実施された有料職業紹介事業者に対する集中指導監督では、約6割の有料職業紹介事業者で違反が確認されました。また都道府県労働局に設置されている「医療・介護・保育求人者向け特別相談窓口」にも相談が寄せられていると存じます。
 医療機関が安心してサービスを利用できるよう、定期的に指導監督を行うとともに、悪質事例あるいは他の医療機関にも注意喚起すべきトラブル事例については、積極的に公表していただくようお願いいたします。


3.ハローワークの新たな施策の推進と広報活動の強化
 医療機関にとって、ハローワークは人材確保の重要な手段の一つであり、現在、医療・介護・保育分野に重点を置き、主要なハローワークへの「人材確保対策コーナー」の設置や、令和8年度からは全ハローワークで病院・施設へのアウトリーチ支援等を予定していただいていることに深く感謝申し上げます。
 これらの取り組みを実効あるものとし、求人者・求職者双方に積極的に利用してもらうために、以下の取り組みをお願いいたします。
 ・「人材確保対策コーナー」の増設(ツアー型面接会や職場見学会等各種イベントの積極的開催を含む)
 ・インターネットサービスの利便性の向上、機能のさらなる充実(インターネットサービスの効果的な活用や利用方法に関する動画・マニュアル等の作成を含む)
 ・求人者・求職者に対する広報活動の強化
 特に求職者の利用促進に向けて、ハローワークが新たな取り組みや機能の拡充を進めていることを周知し、従来の「現地に出向かなければならない」「利用しにくい」といったイメージを払拭していくことも不可欠と考えます。私ども医療関係団体といたしましても、医療機関がこれらの取り組みを活用し人材確保につなげられるよう、周知に努めてまいります。
 併せて、これらの施策の実施に必要な予算措置を講じ、継続的な支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる