1 「我が国の診療所の構造的役割について」~診療所の評価は低すぎないか~
廣澤信作代議員(埼玉県)は、我が国の診療所について、地域病院、高度急性期・中核病院等と連携しながら、質の高いプライマリ・ケアの提供や在宅医療等の支援などを行っているにもかかわらず、人的努力に支えられた「労働時間無制限モデル」とも言える経営となっており、その評価が低すぎると指摘。この診療所を守るための方策及びその発信方法について、日本医師会の見解をただした。
宮川政昭常任理事は診療所も病院も、地域のインフラとして、公定価格の診療報酬でしっかりと経営が成り立つことが本来であるにもかかわらず、財務省が診療所と病院を分断し、診療所の評価を抑え込もうとしていることを問題視。診療所はわずかな利益から税金の支払いや借入れの返済、設備やシステムの改修・更新等を行っている他、内部留保の多くは建物や機器等に充てられていること等を徹底して主張し、その動きを阻止しているとした。
その上で、今後については、「診療所のさまざまな機能が十分に理解され、正当な評価がなされるよう、引き続き国民への発信を続けていくとともに、財源確保に向けて、国への働き掛けを重ねていく」として、理解を求めた。
2 日本医師会かかりつけ医機能研修制度の研修修了証書の申請手続きの時期の変更についてのお願い
藤倉寿則代議員(神奈川県)は「日医かかりつけ医機能研修制度」と「かかりつけ医機能報告制度」の名称が似ていることに加えて、修了申請と報告の時期が重複していることから混乱を招き、負担となっているとして、修了証の申請の手続きの時期と報告制度の報告時期の重複を避けるよう求めた。
城守国斗常任理事は、「日医かかりつけ医機能研修制度」の運営への協力に対して謝辞を述べた上で、研修制度の修了申請時期について、各都道府県医師会の対応状況に応じて、期間の延長など柔軟な運用ができるよう検討する意向を示した。
一方、国の「かかりつけ医機能報告制度」については、各地域のかかりつけ医機能を可視化し、不足している機能の補強の是非等の検討を行い、地域を面として支えるかかりつけ医機能を強化することが主な目的であり、日医かかりつけ医機能研修制度とは趣旨が異なると説明。併せて、報告制度において研修修了の報告が適切に行えるよう、昨年度には「かかりつけ医機能報告制度にかかる研修」を創設したことにも触れた上で、両制度の趣旨の違いについて理解を求めるとともに、報告制度においては「1号機能あり」として適切に報告するよう改めて呼び掛けた。
3 令和8年度診療報酬改定率等に対する日本医師会の評価と課題、その対応等について
池端幸彦代議員(福井県)は今後の診療報酬改定に関し、(1)物価・賃金の動向等に合わせ、医療機関の基本的コストをルール化する方向性、(2)財務・厚生労働両大臣合意に基づく附記事項が改定ごとに肥大化している現状―に対する日本医師会の見解を求めた。
江澤和彦常任理事は、まず(1)について、令和8年度診療報酬改定では、人件費と物価について別枠での対応を求めてきたことにより、一定のルールが構築されたと説明。今後もより現実的な仕組みとなるよう、骨太の方針や中医協の議論の場において引き続き強くその対応を求めていく姿勢を示した。
(2)では、中医協の形骸化は危惧すべき由々しき事態であると主張してきたとし、政府予算において決定した診療報酬の具体的な配分の方法については中医協の専権事項であることを、今後も強く訴えていくとした。
また、2040年に向けた医療提供体制の在り方について、日本医師会として新たなビジョンを明示し、国民やマスメディアに広く発信することを求められたことに対しては、会内委員会や日医総研において中長期的な視野でさまざまな検討を進めているとした上で、国会議員への働き掛け並びに国民やマスメディアへの広報活動はますます重要となるとの認識を示し、より一層力を入れていくとした。
4 診療報酬改定について~残された課題への今後の日医の対応~
米林功二代議員(京都府)からの、地域の医療提供体制を維持するための診療報酬改定に向けた、日本医師会の見解を問う質問には、茂松茂人副会長が回答した。
同副会長は令和8年度の診療報酬改定を振り返り、「インフレ下での今後の『道しるべ』となる極めて重要な改定になった」と説明。また、今改定では救急搬送件数や全身麻酔による手術件数をさまざまな項目の評価指標に用いるなど、新たな地域医療構想に先行した対応も行ったとして、その影響を注視し、しっかりとした検証並びに必要に応じた軌道修正を行っていく考えを示した。
更に、「看護・多職種協働加算」や厚労省の医師偏在総合対策パッケージに基づいた「地域医療体制確保加算2」及び「外科医療確保特別加算」の新設といった、特定の診療科に対する特別な評価を行う新たな試みが取り入れられたことにも言及。次の時代に向けた評価の導入が行われたとするとともに、これらに関しても十分な検証と必要な見直しを実施していくとした。
その上で、同副会長は2035年以降を視野に入れ、地域の人口動態の変化と医療資源を照らし合わせて地域医療体制を考え、それに寄り添うように中医協の議論に臨んでいく姿勢を強調し、理解と協力を求めた。
5 今後、安心して医療DXを進めるための対策について
土屋淳郎代議員(東京都)は、(1)日本医師会が考える全国医療情報プラットフォームと各都道府県における地域医療連携ネットワークの連携・連動に関するビジョン、(2)今後のサイバーセキュリティ対策の方向性―について質問した。
長島公之常任理事は(1)について、これまでも「両者を併用し、上手に組み合わせていく」「システム上も両者を連携・連動できるようにする」ことが必要であると主張してきた結果、両者の併用に対する理解が進んできていると説明。引き続き、全国の地連ネットワークに対する全国プラットフォームの影響と対応状況を調査・把握するとともに、国や地連ネットワークのシステム提供事業者に対し、両ネットワークの連携・連動が進むように働き掛けていくとした。
また、(2)に関しては、日本医師会の主張を受けて、国が令和6・7年度に実施した「医療機関におけるサイバーセキュリティ確保事業」のような支援の更なる充実に加えて、セキュリティ対策として重要な「医療機関内に構築されている医療情報システムのクラウド化」に対する支援を国に求めていく考えを示すとともに、日本医師会が創設した「日本医師会サイバーセキュリティ支援制度」の活用も併せて呼び掛けた。
6 医療DXの推進と現場とのギャップ
橋本寛代議員(兵庫県)からの標準型電子カルテ(導入版)並びに国の医療DX推進策に対する日本医師会の考えを問う質問には、長島常任理事が回答した。
標準型電子カルテ(導入版)に関しては、「政府は、令和12年末までに、電子カルテの普及率が約100%となることを達成する......」との法律の規定内の電子カルテに該当するものとし、その理由として、導入版がもつ機能が、普及率を計算する上での「電磁的記録の利用」に合致すると考えられるからであると説明。また、「法律で電子カルテの普及は政府の責務とされたことを踏まえれば、DX推進に関わるセキュリティ対策や維持・管理に関する費用は国が全額負担すべき」と改めて主張し、その実現を政府に強く求めていく考えを示した。
国の医療DX推進策に関しては、より安全・安心で質の高い医療の提供と医療現場の負担軽減を図るという日本医師会が目指す医療DXの目的の実現に資するものであると評価し、協力していることを説明。「医療DXの推進においては、地域医療を守るため、全ての医師が現状のままで医療が継続できることが大前提」として、これを守るための活動を継続していく意向を示した。
7 ACPとDNARの普及について
上甲裕継代議員(愛媛県)が日本医師会に対して、(1)ACPとDNARの普及の推進に向けた法的環境の整備、(2)市町村への医療制度・医療政策の普及のための人員配置―を国に求めるよう要望したことに対しては、細川秀一常任理事が答弁を行った。
同常任理事はまず、「救急搬送された際に患者本人の希望に反して延命治療が行われることは問題である」「ACPを実践するに当たっては、かかりつけ医は必要に応じて、患者と共にその人の希望する生き方を実現することが重要である」との日本医師会の考えを説明。その上で、(1)については、有料老人ホームに関する今後の制度改正の動きを注視しつつ、入居されている高齢者本人の意思を尊重する取り組みを推進するよう、引き続き国に求めていく考えを示した。
(2)に関しては、普及のための人員配置が必要との代議員の主張に賛同する一方で、行政も人材不足の状況にあることを指摘。国に対して財政面だけでなく、人材面でも地方への支援を求めていくとした。
その他、DNARに関しては、救急隊の蘇生中止や不搬送に対する全国的なコンセンサスが得られていない状況にあることを説明。総務省消防庁等において進められている議論にも参画し、慎重に検討していく姿勢を示して、理解を求めた。
8 国民の皆様に寄り添った医師会からの情報発信に関して
玉城研太朗代議員(沖縄県)が沖縄県医師会の取り組みを紹介しながら、国民の理解を得るため、日本医師会においても国民に寄り添った広報を今後していくべきと主張したことに対しては、黒瀨巌常任理事が回答した。
同常任理事はYouTubeやLINEなど、SNSを活用した広報に取り組んでいることや、「女性特有のがん」をテーマとした公開シンポジウムではインスタグラマーに協力いただき、100万人を超える国民に情報拡散ができたことなど、日本医師会の広報活動の現状を報告。その一方で、「残念ながら、いまだに日本医師会の『国民の健康を思う気持ち』が十分に伝わっているとは言い難い状況にあり、全世代の国民の心に響く翻訳力と共感力を磨く必要性を強く認識している」として、沖縄県医師会の取り組みなども参考としながら、活動に生かしていく考えを示した。
また、令和7年度には都道府県医師会広報担当理事とグループLINEを開設し、患者に寄り添った活動を始めたことにも言及し、「今後より一層全国の医師会と協働し、英知を結集することで、国民の親近感と信頼感を醸成していきたい」として、理解と参加を求めた。
9 MAMISの運用評価と今後の展望について
伊藤金一代議員(茨城県)からのMAMISの運用評価と今後の展望についての質問には、笹本洋一常任理事が回答。
まず、MAMISによる入会や異動等の手続きのオンライン化は一定程度活用が進み、手続きの円滑化や利便性の向上に寄与していると説明。現在は日本医師会会員の約64%、非会員の約26%がMAMISを利用していることに触れるとともに、今後も更なる周知に努める姿勢を示した。
MAMISに関する意見や改善・要望等については、WEBフォームやコールセンターを通じて収集している他、令和7年度は都道府県医師会事務局を対象としたWEBアンケートを実施したことに言及。これらの意見・要望は、組織強化に資するものを優先的に配慮しつつ、システム改修の必要性や費用、実現可能性の観点から、短期的及び中長期的課題に分類・整理し、3月16日に開催した都道府県医師会会員情報担当理事連絡協議会で共有したことを説明した。
更に、医師資格証やHPKIセカンドを用いた認証の導入については、「費用面や利用状況等も踏まえながら、慎重に検討していく必要がある」と述べた。
また、今後に関しては、会員管理機能の運用や関連制度との連携を着実に推進しながら、寄せられた意見等も踏まえつつ、必要な改善や機能の充実について検討を進めていくとした。
10 地方県においては県境を越えた2次医療圏の設定も必要
坂本不出夫代議員(熊本県)からの、県境を越えた2次医療圏の設定についての質問には、坂本泰三常任理事が回答。
県境を越えた医療圏の設定は、現行では厚生労働省が認めておらず、構想区域も2次医療圏が基本となっていることから、行政運用上、現状では困難との認識を表明。他方、都道府県を越えた医療提供体制は必要となり得るため、広域連携に向けた協議は重要だと強調した。
更に、日本医師会の主張により、国の検討会の取りまとめの中で、県境を越えた連携に向けて、都道府県に期待される役割や、具体的な運用をガイドラインで示す必要性が明示されたこと等を紹介した。
また、広域連携に係る具体的事例の共有を求めた他、支援体制に関しては、県境の広域連携に特化した協議会を設ける場合は地方交付税を措置できる一方、調整会議とは別で運用する場合には地域医療介護総合確保基金の対象となるよう、厚労省に検討を求めていることを報告。その他、県境を越えた連携に当たっては、両県の地域の実情を把握している人材が必要であるとした。
その上で、「広域連携には都道府県医師会と郡市区医師会の平素からの連携とリーダーシップの発揮が重要」と述べるとともに、日本医師会も地域の実情に応じた医療機能の分化と連携が適切に推進されるよう、引き続き国と折衝していく姿勢を示した。
11 医師会立看護学校の将来像について
12 医療専門学校の現状打破について
全国の医師会立看護師等養成所の経営状況の他、オンラインでの合同授業や録画教材を用いた授業、日本医師会による動画作成などに関する、友岡俊夫(奈良県)、大原正範(北海道)両代議員の質問には、福田稠副会長が一括答弁を行った。
同副会長はまず、養成所の現状について、入学希望者の著しい減少等により経営が悪化しており、医師会単独で運営を継続することは極めて困難な状況にあることを指摘した上で、「地域の医療提供体制の維持・確保のためには、地元自治体にも強い危機感をもって対応していただくことが不可欠だ」とした。
医療従事者を志してもらうためには、「医療分野は雇用が安定しており、一定の給与水準が確保されている職域である」との認識が社会全体に浸透する重要性にも触れ、「そのためにも引き続き必要な財源の確保等を要望していく」との考えを示した。
続いて、遠隔授業については、「専任教員と、対面授業に相当する教育効果が確保されること」を前提に、一定の条件の下で「同時双方向型」や「オンデマンド型」が認められるとの厚労省の見解を示すとともに、看護師等養成所の遠隔授業に関するガイドライン作成の研究事業が実施されており、間もなく公表される見込みであることを説明。「このガイドラインにより運用の在り方が一定程度、整理・明確化される」との認識を示しつつ、令和8年度に開催予定の医師会立看護師等養成所会議において、厚労省からの説明の機会を設けるなど、関係者への周知に努める姿勢を強調。本格的な遠隔授業の活用はこれからだとし、「実践に際しては教育の質を担保した上で、柔軟な対応ができるよう、厚労省と協議していく」と述べた。
また、標準動画の作成を以前検討したが、基礎科目に限っても費用が極めて高額で実現できなかった経緯に触れるとともに、仮に動画を整備した場合でも、授業ごとの質疑応答、テスト作成、成績評価などは講師による対応が必要とし、「現実的には現在行っている授業を撮影することで十分対応可能であり、新しい要素や修正を加えることも比較的容易にできる」とした。
13 わが国の医療廃棄物処理体制の脆弱性と、医療機関が負わされている排出事業者責任の限界
秋山欣丈代議員(静岡県)から出された、医療機関から排出される感染性廃棄物の処理体制の脆弱性や排出事業者責任についての質問には、渡辺弘司常任理事が回答した。
同常任理事は、排出事業者が廃棄物の処理を委託した処理業者へのマニフェスト交付や処理状況の確認といった手続きの現状を説明。電子マニフェストについては、「虚偽報告や義務違反などを防止するシステムである」とした他、(1)委託業者による不適正処理事案の発覚時も医療機関側が責任を問われることを防ぎ、措置命令の回避等に有効な手段となる、(2)電子マニフェストは紙よりも業務を大幅に短縮できる―などのメリットを挙げ、「国に対し、電子マニフェスト移行への支援の実施を要望していきたい」とした。
また、静岡県医師協同組合による実地確認の代行、視察結果の公開とそのみなし規定については「医療機関の負担を軽減するもので、他の地域にも大変に参考になる」と述べた。
その上で、令和6年5月には都道府県医師会医療廃棄物担当理事連絡協議会を開催したことに触れ、「今後もそうした取り組みによって、電子マニフェストの普及拡大や好事例の共有などを行い、引き続き医療機関の負担軽減を図り、安心して適切な医療を提供できる環境整備に努めていきたい」とした。
14 地域医療を守るために
本間博代議員(岩手県)は、地方における分娩数の減少と産科医のなり手不足は、周産期医療を起点とした医療崩壊を招き、結果として地域そのものの消滅につながりかねないとして、地域の周産期医療体制の維持に向けた日本医師会の考えをただした。
濵口欣也常任理事は、少子化が進む中で、産科医・産婦人科医自体は増加しているものの、地域の一次施設が減少している現状を踏まえ、分娩数の減少が一次施設の更なる減少を招くという悪循環を懸念。一次施設の減少率が高い地域では早期新生児死亡率が高い傾向も見られることから、一次施設を中心とした地域の周産期医療体制を守ることが重要だと強調した。
更に、医療財源の確保を求めた結果、補助事業が創設されたものの不十分であるため、(1)更なる支援を政府に要望している、(2)標準的な出産費用の無償化に関する法律案が分娩施設の運営に影響を与える可能性を懸念し、特に一次施設が分娩を継続しようと思える制度設計の必要性を訴えてきた―ことを報告。その上で、「世界に冠たる安全・安心な産科医療体制を保持していくことが、我が国の人口問題にとって重要な解決策となる」と強調し、引き続き、国に働き掛けていく姿勢を示した。
15 これからの医師育成について
市来能成代議員(宮崎県)は、2040年以降の高齢者医療の需要増加に対応するためには、現行の専門医育成体制に懸念があると指摘。その上で、若手医師が専門医志向に偏り、救急医療での対応力が不足している現状や、臨床研修後に美容医療へ進む「直美」問題がある中で、医師の育成方針に関する日本医師会の見解をただした。
今村英仁常任理事は、これからは日本の将来に必要な医療を提供できる医師の養成が求められるとする代議員の指摘に賛意を示した上で、2040年以降の高齢者医療の需要増加に対応するためには、日本医師会が推奨する、地域のニーズに応じた「地域を面で支えるかかりつけ医機能」の充実が重要と考えているとした。
また、日本医師会は地域医療構想や医師養成過程に関する検討会に深く関与してきていることを説明。「具体的な取り組みとして、医師養成に関しては地域枠の設置、臨床研修及び専門研修制度を通じた対策、総合的な診療能力を有する医師の養成等が挙げられる」と述べた。
更に、「直美」問題については、本年4月1日の健康保険法改正により保険医療機関の管理者要件を厳格化し、臨床研修修了後3年以上、病院で保険診療に従事した経験が求められるようになると説明。今後も倫理観をもった医師の養成を目指し、国の検討の場で主張を続ける意向を示した。
その上で、同常任理事は最後に、「これからの医師養成には、地域で一体となって果たす医師会の役割が大変重要になる」と強調。改めて組織力強化に向けた協力を求めた。
16 新規会員獲得のあり方と会員サービスについて
川上一恵代議員(東京都)が、医学部卒業後5年間の会費減免期間を経過した会員の定着率について質問するとともに、『日医雑誌』のデジタル化により同梱物が届かなくなるなど、会員サービスが低下しているのではないかと懸念を示したことに対しては、藤原慶正常任理事が回答した。
定着率については、減免期間を延長してから5年が経過する令和10年度以降に、詳細な評価を行う意向を示す一方で、会費減免措置を5年に延長する前後では、会員数が約5,000名増加しているなどその効果が見られていると説明。また、若手医師に対する会費減免措置については、「単に会員数の増加を目的としたものではなく、医師会活動を知ってもらい、将来にわたって、共に医療界のさまざまな課題に取り組んでもらうことを目的としている」と述べ、組織強化へ向けた協力を要請した。
代議員の懸念に対しては、産業医学講習会の受講料や医師資格証の発行料において、会員の優位性を確保する仕組みを設けていることを紹介。また、『日医雑誌』等のデジタル化については、会員における利便性向上や医師会事務の負担・コスト削減を目的として進めており、同梱物は希望者に別途送付する対応を行っているとした上で、「会費収入の減少を理由とした、他の会員サービスへの見直しは行っていない」として、理解を求めた。
17 精神科オンライン診療における安全確保および運用の適正化について
野中雅代議員(北海道)からの、精神科オンライン診療における安全確保及び運用の適正化についての質問には角田徹副会長が回答。
オンライン診療は、医学的な有効性、必要性、特に安全性が最優先であり、利便性や効率性のみを重視した安易な拡大はすべきではないとの姿勢を改めて強調した上で、今回の医療法改正により、実施医療機関には「オンライン診療の適切な実施に関する指針」で定める「最低限順守すべき事項」の履行が義務付けられ、保険診療だけでなく、自由診療も含めて、不適切と疑われる場合には都道府県の指導、立入検査、是正命令等が実施できるようになったことを説明。
懸念が示された向精神薬の処方については、これまでも初診の場合や、再診であっても対面診療がない状態からの処方が禁じられてきたが、今回、医療法に基づく厚労省令に引き上げられるとして、今後、精神療法における安易な診断書の発行についても「指針」や「チェックリスト」、更には「医療広告規制」や「医療機関ネットパトロール」等において「不適切な事例」として明確に位置付け、厳格に取り締まりがなされるよう、引き続き国に対し働き掛けていくとした。
また、「D to P with N/D(看護師・医師等が同席する形式)」について、今回の診療報酬改定で評価が大きく拡充されたこと、更には指針の改訂に際し地域医療機関との連携体制の整備について強く主張したことに触れ、引き続き適切な医療提供体制のために取り組んでいく姿勢を示した。
18 医療秘書の今後について
伊藤伸一代議員(秋田県)からの医療秘書の今後について日本医師会の見解を問う質問には、松岡かおり常任理事が回答した。
日本医師会では、医師が本来の専門業務や社会活動に専念できるように補佐する職種として、基礎的な医学の知識、秘書技能を備え、最新の情報処理・管理に精通した医療秘書の養成を推進してきたと説明。患者と医師、他の医療従事者とをつなぐコーディネーターでもあり、本会認定医療秘書は、医師事務作業補助者に必要な基礎知識習得のための32時間以上の研修が免除されるため、即戦力としての活躍が期待されると強調した上で、ホームページでこのような魅力を引き続き情報発信しつつ、養成校によるオープンキャンパスや高校生へのチラシ配布などの取り組みを支援し、まずは養成校が定員を満たせるよう関係医師会や養成校との連携を強化していく考えを示した。
更に、医師事務作業補助体制加算については、「医療DXへの対応や煩雑な業務等、大変な負担を強いられている状況にあることから、引き続き、中医協等に加算の引き上げや対象の拡大を求めていく」と述べた。
この他、内容やデータが古い教科書があるとの指摘には、来年度に教科書改訂委員会を設置して令和9年度中に新しい教科書を完成させ、翌年度の入学生から用いていきたいとした。
19 医師国保組合の存続・合併に対する支援等について
清水正人代議員(鳥取県)からの、医師国保組合の存続・合併に対する支援等について日本医師会の見解を問う質問には、佐原博之常任理事が回答。
今回の更なる国庫補助率削減案については、「国から提示された3条件は根拠が必ずしも明確ではなく、相対評価によって各組合の経営努力にかかわらず補助率が引き下げられ得る仕組みが検討されていると聞き及んでいたが、極めて問題がある」と指摘。社会保障審議会医療保険部会で城守常任理事が反対の意見を述べるとともに、3月24日には、松本吉郎会長、近藤邦夫全国医師国民健康保険組合連合会長と共に、上野賢一郎厚生労働大臣に各組合の努力が直接反映される基準に改めるよう要望したこと(別記事参照)を報告した。
補助率削減以外にも、組合員の減少や高齢者医療制度等への拠出金の増加など、相対的に規模の小さな組合にとって重大な課題も生じているとし、「統合・合併による組織規模の拡大や財務基盤の強化を検討していくことは、将来にわたって制度を維持するための重要な選択肢の一つ」との見方を示し、合併を希望する組合の協議が円滑に進むよう、情報共有の場づくりや、合併時の財政的・制度的ハードルを下げるための国への要望など、側面から最大限の支援を行っていくとした。



