トイレットペーパーが店頭からなくなり、買いだめに走るニュース映像が印象的な第一次オイルショックは、1970年代の第四次中東戦争を機に起こったが、私も中学生だったので記憶にある。
今回は米国とイスラエルのイラン攻撃を機に、中東産油国から原油を運び出すホルムズ海峡が封鎖され、95%を中東産原油に依存する我が国にとっては、まさに生命線が絶たれた状態である。
原油は車の燃料としてのガソリンだけでなく、エチレンやプロピレン、ベンゼン、トルエンなどの石油化学基礎製品の原料であるナフサの精製にも必要とされる。基礎製品からはプラスチックやナイロンなどの化学繊維、有機溶媒や合成洗剤、医薬品など身の回りの多くの工業製品が製造されるため、海峡封鎖が続くと我々の生活は危機的状態に陥ることが予想される。
日常生活だけではなく、医療においても様々な医療関連用品の不足が予想される。手術用のナイロン糸やプラスチック手袋、採血容器、輸液バッグ・チューブの不足は診療に大きく影響しそうだし、人工透析に使うフィルター不足は直接、生命にも関わる。
日本は約250日分の石油備蓄があり放出を始めたが、海峡封鎖が解除されない限り、間違いなく日常の生活や診療に多大な影響が出る。天災は防ぎようがないが、紛争や戦争は人間同士が起こすもので、本来は回避できる。遠い国の紛争と思っていたが、日本の中東原油依存と工業製品のナフサ依存の脆弱(ぜいじゃく)性が露呈した出来事で、世界の平和と早い解決を願うばかりである。
(グリーン)



