日本医師会が行った「医師の働き方改革と救急医療等の現場に関する調査」の結果がこのほど、まとまった。
調査結果の概要はこちら
https://www.med.or.jp/doctor/hospital_based/hatarakikata/012708.html
日本医師会では、昨年8月に「令和7年度医師の働き方改革と地域医療への影響に関する日本医師会調査」(以下、「影響調査」)を実施したところであるが、多くの救急医療の現場やそこで働いている勤務医が働き方改革や救急医療対応に関して、どのように感じているのかを問うアンケートの必要性も指摘されたことから、本調査は「影響調査」の追加的な調査として実施したものである。
調査は「影響調査」に回答した救急医療機関、周産期母子医療センターや小児救急拠点病院等の医療機関と、当該医療機関の勤務医を対象として、令和7年12月から令和8年1月に掛けて実施し、745病院・診療所から回答を得た(回答率44・6%)。
それによると、医師の働き方改革によって救急医療体制の縮小・撤退を行っていない機関は88・3%と、大きな変化は生じていないように見えるが、特に一部の救急医療機関では、「高齢救急患者の増加」や「他院に対する自院の負担増大」により、縮小が困難な状況が存在していることが分かった。
「その他」を選択した回答を見てみると、「地域唯一の医療機関である」など、地域医療を維持する責務から、特定の医療機関が縮小・撤退を行わず尽力していることが推察された。
また、周産期医療体制、小児医療体制で縮小・撤退を行っていない機関はそれぞれ90・0%、86・7%で、同様の傾向が見られた。
外来診療体制や入院診療体制の縮小を行っている機関は、それぞれ8・9%、8・2%と大半の施設で縮小は行われていないものの、高齢者の増加による患者増、医療機能の分化・連携が十分に進んでおらず、実質的には負担が増加した場合もあることが伺えた。
手術件数が減少している機関は24・9%となっていたが、その理由としては患者数減少、人材不足や緊急手術の対応の困難さなどが挙げられていた。一方、減少していない場合でも、他院からの患者受け入れ増加により、現場負担が軽減されていない場合もあり得ることが分かった。
地域医療提供体制で実際に生じている問題点の要因・背景、現況については、医師偏在や働き方改革への対策が重要との考えが示されていた他、看護職員等、他の従事者の確保も課題とする回答が上位を占めた。
その他、勤務医を対象とした調査では自身や自院の負担が増大したことが指摘される一方で、「ワークライフバランスがとれるようになった」「勤務医間で地域連携やタスクシェアリングへの関心が高まった」等、医師の働き方改革の好影響を指摘する意見も見られた。
調査を担当した細川秀一常任理事は「回答された施設は、医師の働き方改革や医師偏在などに対する問題意識が比較的高い可能性があり、多少のバイアスがあると思われるが、現場の貴重な情報を得ることができた」として、調査への協力施設に感謝の意を表明。今後については、調査の結果を都道府県医師会等と共有し、国・地方に対する予算要望活動や関係審議会・検討会等における主張のバックグラウンドとしたいとの考えを示した。



