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令和8年(2026年)5月20日(水) / 日医ニュース

新たな地域医療構想に係るガイドラインの方向性について確認

新たな地域医療構想に係るガイドラインの方向性について確認

新たな地域医療構想に係るガイドラインの方向性について確認

 令和8年度都道府県医師会 新たな地域医療構想に関する担当理事連絡協議会が4月15日、日本医師会館小講堂とWEB会議のハイブリッド形式で開催され、新たな地域医療構想に基づいた今後の医療提供体制の方向性を確認するとともに、各都道府県医師会との質疑応答等を通じて相互理解を深めた。

 新たな地域医療構想は、これまで厚生労働省「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」等で検討が重ねられ、厚労省としては医療法等改正法に基づき、令和8年度のできるだけ早期にガイドラインを示したいとしている。また、都道府県ではこのガイドラインを基に令和8年度に新構想を策定し、令和9年度以降に順次取り組みを開始する予定となっている。
 本協議会はこれらの状況を踏まえ、今後の医療提供体制の方向性を確認するとともに、各都道府県医師会との質疑応答等を通じて相互理解を深め、今後の各地域における検討に万全を期すために行われたものである。

医師会主導で協議の場の活性化を―松本会長

 本協議会は坂本泰三常任理事の司会で開会。冒頭あいさつを行った松本吉郎会長は、医療法改正や国の検討会で議論が取りまとめられたことに触れ、議論の中では日本医師会として、(1)医療機関の深刻な経営状況を踏まえ、「健全経営の担保」を前提とするよう繰り返し主張してきた、(2)新設される医療機関機能報告については、地域に根差した医療機関が機能を最大限発揮できることが重要であり、国の基準を全国一律に適用するのではなく、柔軟な運用と自主性に基づく運用を求めてきた―こと等を説明。
 必要病床数等の各種指標については、「2040年という遠い未来を予測するために、統計に基づいて導出された推計値にすぎない」として、実態を無視した取り組みを行わないよう強く要請していると語った。
 さらに、構想策定後も定期的に実態を評価し、見直しを適宜行うよう主張した結果、その旨が検討会の取りまとめにも反映されたと報告。
 その上で、松本会長は「医師会主導で各地域の協議の場を活性化し、円滑かつ適切に構想策定が促進されるよう、議論を深めていただきたい」とした。
 続いて、西嶋康浩厚労省医政局地域医療計画課長より、新たな地域医療構想に係るガイドラインの方向性について説明が行われた。
 西嶋課長はまず、新たな地域医療構想について、「日本全体の人口動態や地域ごとの課題、入院受診延日数や病床利用率の減少傾向などを踏まえ、入院医療だけではなく、外来・在宅医療、介護との連携、人材確保等を含めた、地域の医療提供体制全体の課題解決を図るものであり、今般の医療法改正で医療計画の上位概念に位置付けられた」と述べた。
 構想区域については、①医療提供体制の構築②必要病床数の運用―の大きく二つの役割があるとし、①は人口20万~30万人以上を目安に検討する必要がある一方、②は都道府県が区域の人口や医療機関数、人口の流出入等を踏まえて設定するものであると説明。また、「二次医療圏の半数が既に人口規模20万人未満となっている現状等を鑑みれば、人口の少ない地域では『圏域の広域化』『隣接する都道府県との連携』等の見直しが考えられる」と主張した。
 医療機関機能報告に関しては、「急性期拠点機能」「在宅医療等連携機能」「高齢者救急・地域急性期機能」「専門等機能」(大学病院本院は「医育及び広域診療機能」を選択)の中から医療機関が手挙げで報告するものであり、「複数あっても可」と説明。他方、病床機能では回復期を包括期とするとともに、必要病床数の見直し等も行うとした。
 また、有床診療所の役割についても言及し、「構想の中でも重要な役割を果たすものになる」と述べた。
 オンライン診療については、医療法改正で法律上に位置付けられ、定義が明確化されたことに触れるとともに、「医療資源が乏しい地域で、対面診療と組み合わせて活用することは一つの解決策」と指摘。構想の中に位置付けることで活用が進むことに期待を寄せた。
 がんや周産期医療等の5疾病6事業に関しては、従来は領域ごとに医療圏や圏域の設定等を行ってきたが、今後は構想に即して議論することになると語った。
 地域における協議については、「市区町村や介護関係者の役割が大事になる」と強調。今後は人口推計や人材等の医療資源等のデータを踏まえ、「現状・課題の把握」「区域の設定」「設定した区域の課題の把握」に取り組み、遅くとも2028年度までに急性期拠点機能を報告する医療機関を含めた医療機関の設定等、課題に応じて対応案を検討・決定し、新構想を策定するとともに、2035年をめどに、2040年を見据えた医療提供体制について一定の成果を確保することを目指すとした。
 その他、令和7年度補正予算で実施する「病床数適正化緊急支援事業」に関しては、令和8年度末までに病床を削減する医療機関への財政支援であり、今回は基金管理団体から医療機関に所要額を直接支給する仕組みであることを概説。「あくまでも医療機関の手挙げによるものであり、病床削減を検討している医療機関は早めに対応してほしい」と呼び掛けた。
 その後、今村英仁常任理事の進行の下、質疑応答や意見交換を実施。今後対応が求められる様々な事項に関する質問に西嶋課長から回答がなされた他、各地域の医療提供体制の実情に合わせた柔軟な運用について、厚労省から都道府県行政へ働き掛けること等が確認された。

全地域に根差した医療提供体制構築に引き続き努める―角田副会長

 最後に総括を行った角田徹副会長は、2028年度までに構想を策定するに当たって、各地域の協議の場では、幅広い関係者の参画と多岐にわたる内容が議題になるばかりでなく、医療機関機能報告制度が開始されることによって一層複雑化し、混乱が生じかねないことに懸念を表明。「医療現場の実態を最も知悉(ちしつ)している医師会が議論を主導する必要がある」と述べるとともに、各地域の状況は多種多様であることから、ガイドラインに過度にとらわれず、各地域の将来をしっかりと推定しながら議論を進めるよう要請した。
 その上で、角田副会長は「ガイドラインの柔軟な解釈や補助金を始めとする支援策等について、国に対して強く働き掛けるとともに、医師会全体として、全地域に根差した医療提供体制構築に向けた取り組みが円滑に進められるよう、引き続き日本医師会として努めていく」と述べ、本協議会は終了となった。

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