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令和8年(2026年)6月20日(土) / 日医ニュース

対話型AIケアボットによるがん患者の心理的支援

勤務医のひろば

対話型AIケアボットによるがん患者の心理的支援

対話型AIケアボットによるがん患者の心理的支援

 2024年3月に、福井工業大学AI&IoTセンター長の芥子育雄教授より、がん患者の心のケアと情報提供を目的とした対話型ケアボットの開発をしたいという相談を受けた。がん委員会の治療相談支援の部会長を務めていたこともあり、話を進めた。当時は働き方改革が大きなテーマとなっており、AIやIoTを活用して患者さんを支えることで、医療従事者の負担軽減につなげたいという思いがあった。
 医療従事者、一般市民、外来患者の順で進めた。同時に「生成AI×コード」「LLM」「Ethical AI」の三つのグループが活動した。小生は技術・倫理・現場の視点から、「Ethical AI」のメンバーとして倫理・安全性ガイドラインの策定、患者データの保護、緊急時の対応等について検討した。
 このケアボットは、音声認識・合成に"Azure Speech Service"、対話エンジンに"Azure OpenAI GPT-5-chat"を、アバター表示にはLive2Dによるリアルタイム表情連動を使用した。医療情報連携として、がん情報サービスや院内クリニカルパス情報を統合した。まず共感し、その後に情報を伝える設計とし、心理学的なアプローチを組み込んだ。
 信頼感を上げ不安を取り除く意味で、アバターを若い女性から小生のモデルに変更した。高齢患者の音声認識(ゆっくり話すと途切れる問題)、医療用語のフィルタリング(自傷に関する言葉を不適切ワードとしてブロック)、共感と情報提供のバランス調整などを行った。
 結果として76%の患者さんが「医師には話しにくいことをAIには相談できた」と回答。POMS2(気分や情動の状態を評価する心理検査)では五つの指標全てで統計的に有意な改善が確認され、特に尺度である「怒り」「抑うつ」の項目が軽減された。
 AIと人が共創し、AIを良きパートナーとして捉え、より良い医療を築いていくことが求められる時代が始まった。

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