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令和8年(2026年)8月5日(水) / 日医ニュース

世界医師会(WMA)ベオグラード理事会若手医師の会議 参加報告

中央が渡辺先生、左から2人目が吉川先生中央が渡辺先生、左から2人目が吉川先生

中央が渡辺先生、左から2人目が吉川先生中央が渡辺先生、左から2人目が吉川先生

 日本医師会では、若手医師の医師会活動への参画支援の取り組みとして、昨年度より世界医師会(WMA)理事会・総会に併せて開催される医学部卒後10年以内の医師を対象とした会議に、若手会員(医学部卒後10年以内の日本医師会員)を派遣しています。
 派遣に当たっては全国から幅広く派遣者を募るため、全国六つの地域ブロックに対し、順に推薦への協力をお願いしています。
 2026年度は、北海道及び中国四国ブロックのご協力の下、4月にセルビアで開催されたWMAベオグラード理事会に併せて開催された若手医師(WMAジュニアドクターズネットワーク:WMA―JDN)の会議に、北海道及び鳥取県医師会の2名の若手会員を派遣しました。

手稲渓仁会病院 渡辺梨花(北海道ブロック推薦)

260805i2.jpg WMA―JDNの会議には、ヨーロッパ、アジア、南米、アフリカなど、各国から若手医師が参加し、「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に向けたグローバルアクション」をテーマに議論が行われました。
 会議では、公衆衛生、医療人材育成、若手医師の役割等について意見交換が行われ、各国が抱える問題として、飲酒規制への取り組み、医療従事者の燃え尽き症候群、医療アクセス格差などが紹介されました。
 日本については、国民皆保険制度や高額療養費制度によりUHCが実現している一方で、高齢化による医療費増大や医療・福祉分野の人材不足といった課題があることを共有しました。
 グループセッションでは、「プラネタリーヘルス」のワーキンググループに参加し、気候変動や大気汚染による健康被害について議論しました。
 ヨーロッパでは熱波による健康被害が報告されており、感染症対策や環境問題には医療分野だけでなく、多分野の専門家との連携が重要であることが共有されました。
 今回の会議を通じ、医療は疾病対策だけでなく、労働環境や地球環境を含む幅広い課題と関係していることを学び、国境を越えた情報共有と協力の重要性を改めて実感しました。
 また、日々の臨床が日本のUHCを支えていることを実感するとともに、臨床現場の視点に加え、「医療人」として世界的な視点から医療を考える重要性を再認識しました。
 今回得た知見や他国の医師との交流を大切にし、今後の診療に生かしていきたいと思います。
 最後に、このような貴重な機会を与えてくださった日本医師会の皆様に、心より感謝申し上げます。

鳥取大学大学院医学系研究科博士課程 吉川侑也(中国四国ブロック推薦)

 WMA―JDNは卒後10年以内の若手医師が主体となっており、より健康な世界の実現に向けて、アドボカシーや教育、国際協力を通して若手医師が協働していくことを目指しています。
 今回は「UHCに向けたグローバルアクション」をテーマに開催され、欧州を中心にアフリカやアジアなど、多様な国・地域から若手医師が集まりました。
 会議では各国が抱える課題の多様性が際立っていました。地理的制約から医療資源の集約が困難であったり、政治的混乱による不安定な医療体制であったり、慢性的な医師不足にもかかわらず雇用が進まないなどの各国の現状が共有され、先進国でも専門医受診に長い待機期間が必要で、その間の病状悪化が問題となっている国もありました。
 こうした現場の声を直接聞く中で、日本の医療制度が患者にとっていかに優れているかを再認識すると同時に、各国の状況があまりに異なる中で解決策を見いだす難しさも痛感しました。それでも議論を積み重ね、課題を共有し続けること自体に意義があると感じました。
 また「パンデミックへの備え」の分科会に参加しました。COVID―19パンデミックの経験を踏まえ、迅速なワクチン普及と、その前提となる市民への正しい知識啓発の重要性を共有しました。
 私の意見として若手医師同士の知見共有の必要性についても述べ、漸次増加する人々のグローバルな移動と地球温暖化に伴う衛生動物の生息範囲の変化によって、従来輸入症例に限られていたような感染症のエンデミックが予想される中で、若手医師同士の知見共有という点にWMA―JDNのような国際的ネットワークの新たな意義が見いだせると話しました。
 現地で滞在中は各国の医師たちとの交流も多くあり、時間の許す限り語り合いました。互いの国の医療から互いの出自に至るまで、話題が尽きることはなく、また同世代の彼らの歴史解釈や民族観などセンシティブな面も含め、多様な価値観に触れる貴重な経験でした。
 このたびは、このような貴重な機会を頂き、日本医師会に深く感謝いたします。

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