

松本吉郎会長と今村英仁常任理事は10月28日の定例記者会見で、控除対象外消費税問題に対する日本医師会の現時点の見解を説明した。10月14日の衆議院予算委員会での質疑における高市早苗内閣総理大臣や上野賢一郎厚生労働大臣の答弁を踏まえ、課税自体のハードルが非常に高い点について、「日本医師会としても極めて重く認識しており、その通りだ」と指摘。日本医師会の医業税制検討委員会を中心に、全国の都道府県医師会長の先生方の意見も聞きながら、どのような方策が最も良いか、幅広く丁寧に検討を重ねていく姿勢を示した。
松本会長はまず、医療に係る消費税の問題について、医療界の長年の懸案事項となっている点を指摘。今年7月には、自由民主党と日本維新の会による「社会保障改革項目に関する具体的な骨子」においても、医療機関における高度医療機器及び設備の更新等に係る現在の消費税負担の在り方の見直しが課題に挙げられており、必要な支援の在り方を検討する方針が示されているとした。
その上で、「日本医師会では同委員会で長年、この問題の検討を重ねてきた。今期も既に検討を開始している」と述べた。

続いて、今村常任理事が控除対象外消費税問題について、さらに検討を深めるため、今期の同委員会において議論を始めていることを改めて説明。
同委員会にはこれまでと同様に、日本病院会や全日本病院協会、日本精神科病院協会、日本医療法人協会、私立医科大学協会、全国有床診療所協議会から推薦された代表の委員が今期も引き続き参画している他、厚生労働省もオブザーバーとして参加している点に言及。「今後とも、この課題については厚労省としっかりと相談しながら議論を深めていく」とした。
10月14日の衆議院予算委員会での質疑において、高市総理が「全体としては必要な手当てがなされていると考えている。一方で、個々の医療機関の間では補填の状況について、ばらつきが生じ得ることも認識している」と答弁している点や、上野厚労大臣が「まず課税に転換する、そのハードルが非常に大きい」「検討すべき課題が山積している」といった答弁を行った点にも言及。
高市総理や上野厚労大臣の答弁を踏まえ、「課税そのもののハードルが非常に高いことは、日本医師会としても極めて重く認識しており、その通りだと考えている」と指摘。この点を踏まえ、日本医師会として全ての医療を課税にすることは要望していないと説明した。
令和9年度税制改正に向けた日本医師会の税制要望では消費税に関して、従来の要望に加えて、新たに現在の非課税制度を前提として「医療機関の建物等を含む高額投資に対する特段の対応」を大至急講じるよう求めていることにも触れた。
また、物価高騰や人件費上昇によって病院の経営はますます苦しくなっている他、近年の建築単価の高騰により、消費税問題も相まって病院は建て替えや高額の設備投資が不可能な状態に陥っているとし、「このままでは病院の存続は不可能になる」との懸念を表明。
このような状況下において、一時的な高額な投資の際の消費税負担によるキャッシュフローの悪化はそれ単独でも病院の存続を揺るがす課題になるとの見方を示し、「これについては税対策のみならず、補助金、融資等を加えた特段の対応を大至急行っていただかなければ間に合わなくなる」と指摘した。
こうした点を踏まえ、日本医師会では税制要望と同時に、予算要求要望においても建物の老朽化対策支援や高額投資への支援を要望しているとした上で、「この問題は税制と予算のセットで対応しなければならない問題である」との見解を示した。
現在、医療機関の消費税への国の対応として、外来については初診料・再診料に上乗せが行われている点にも触れ、「日本医師会として特に診療所の外来について、この方法を変更することは考えていない」と説明。
さらに、小規模な診療所が消費税の還付を受けるために課税事業者になる必要が生じるような制度変更は、現場で困窮する診療所が出てくることが大きく懸念されると指摘。
制度の変更を検討するに当たっては、社会保険診療に関連する他の税制への影響も十分に勘案する必要があるとし、「今、地方で医療を支えてくださっている高齢な医師を含めた先生方が制度変更による影響を受け、万が一にも閉院してしまい、地域医療の崩壊に繋がるようなことは絶対にあってはならない」と訴えた。
ただし、病院については、「高額投資の際のキャッシュフローの問題はもとより、そもそも病院によっては補填のばらつきが大きいことが一番の課題と考えられる」と指摘。
補填の精緻化については、昨年開催された中医協の医療機関等における消費税負担に関する分科会においても、日本医師会の役員が厚労省に対し、更なる精緻化の検討を強く求めている点に言及。その上で、「特に病院については、現行下においてより精緻に手当てできる方法がないか、もう一度検討を深めていく」と述べるとともに、厚労省にも再検討を求めていく姿勢を示した。
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