●適正なエネルギー量を守る 血糖値の上昇や低下にはインスリンの働き方が大きく影響するので、インスリンが正常に作用する身体づくりや食生活が重要になります。食べすぎるとインスリンが大量に必要になり、オーバーウエイトになって、体内に脂肪がたまります。 そうなるとインスリンに対する細胞の感受性が低下し、インスリンがうまく働かなくなってしまいます。その結果、余分なブドウ糖が血液中に残り、血糖値は上昇し、インスリンの働きはさらに弱まるという悪循環に陥ってしまいます。1日3食の規則正しい食生活を送り、腹八分目を心がけ、自分のエネルギー量に応じたカロリー計算を行うようにします。 ●「食品交換表」を活用する バランスのよい食事をとるためには、何をどれくらい食べればよいのかなどが整理されている「糖尿病予防のための食品交換表」(日本糖尿病学会、文光堂)を参考にするとよいでしょう。食品を6つの表に分類し、一定の単位ごとに食品の分量が示されているので便利です。飽きずに長続きできるバリエーション豊富な献立を工夫してみましょう。 |
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●食事のとりかたにも気を配る 食事療法では何を食べるかはもちろん重要ですが、同様に食事のとりかたも考慮することが大切です。 たとえば、朝食を抜いた場合、昼食後と夕食後に血糖値が急激に上がりやすくなります1)。下図のように、糖尿病の人が朝食をとらなかった場合には、昼食後、夕食後ともに血糖値が急激に上昇してしまいます。 また、朝食抜きのほうが1日2食となり総摂取カロリーは低いにもかかわらず、血糖値上昇を比較する指標であるグラフの曲線より下の面積(血糖値上昇曲線下面積)は、朝食抜きのほうが大きくなってしまっていることがわかります。 ただし、1日3食をとっていたとしても、夕食の時間が遅いと、夕食後に血糖値が急激に上昇してしまいます。逆に、夕食を早い時間帯にとると、食後の血糖値が急激に上昇しにくくなります。早い時間帯にしっかり夕食をとるのが難しい場合は、早い時間帯に一部を食べ、残りを遅い時間帯に食べると、食後の急激な血糖値の上昇が抑えられます2)。 また、野菜を主食(炭水化物)よりも先に摂取すると、食後の血糖値が急激に上昇しにくくなることもわかっています3)。食べる順番にも気をつけるとよいでしょう。 1)Jakubowicz D, et al. Diabetes Care. 2015;38(10):1820-1826. 2)Imai S, et al. Diabetes Res Clin Pract. 2017;129:206-212. 3)今井佐恵子,他. 糖尿病. 2010;53:112-115. |
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