健康交差点No.24 エッセー 診察室から 前号 目次 次号
真夜中の作曲
三枝 成彰(作曲家)

 いま、来年の4月に初演予定の新しいオペラ「ジュニア・バタフライ」の作曲真っ最中である。プッチーニのオペラ「蝶々夫人」の後日談、という趣きの作品だ。

 毎日、昼間から夜にかけては打ち合わせや講演に充てるために、腰を落ち着けて作曲できる時間が実質夜中しかない。1度帰宅してシャワーを浴び、エンジンがかかり始めるのが24時ごろ。そのまま朝方まで書き、11時ごろまで寝る、というのが1つのパターンだが、去年還暦を迎えたせいもあり、そうそう無理もきかない。終わったらとにかく寝て、起きたらシャワーを浴びて調子をなんとか整える。外食ではカロリーが高くなりがちなので、家では粗食・禁煙を心がけている。

 「関が原」や「平家物語」などもいずれオペラにと思い、80歳半ばまでの計画表まで作っている私だが、体はときにキツくても、そうやって自分に目標を与え、奮い立たせることが、健康を保つ秘訣ではないかとひそかに思っている。

診察室から 他の国に比べて日本の医療は悪いのですか?
 日本の医療は非効率なので、株式会社を参入させるべきだという意見があります。

 しかし、よく考えてみてください。国際的に見ても、きわめて安い費用で世界一の長寿を達成している日本の医療は、本当に非効率といえるのでしょうか。

 アメリカの医療は株式会社が参入し、日本の2倍以上の費用を使っているにもかかわらず、日本よりも5年も短い寿命しか達成できていません。

 高い保険料を払わなければ良い医療を受けられないというアメリカ型の医療を、あなたは選びますか。

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