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平成27年(2015年)11月5日(木) / 日医ニュース

在宅専門の医療機関 かかりつけ医と連携することが必要

 日医役員が出席した主な外部審議会(9月30日~10月9日開催)の概要を紹介する。

在宅専門の医療機関 かかりつけ医と連携することが必要

在宅専門の医療機関 かかりつけ医と連携することが必要

─中医協─(報告・中川副会長、鈴木・松本両常任理事)

 中医協が9月30日に都内で、10月7日に厚生労働省で、それぞれ開催された。

 30日の「総会」では、次期診療報酬改定に向けた外来医療に関する検討の中で、「紹介状なしの大病院受診時に係る選定療養」について議論した。

 定額負担を求める大病院の範囲について、「特定機能病院の他、500床以上の地域医療支援病院」とする厚労省案に、診療側が賛意を示したのに対して、支払側は病院の機能面から議論が必要と指摘した。

 また、定額負担の金額について、診療側は「地域性を反映できるように最低金額を設定」する厚労省案を支持したが、支払側は「大学病院など病院の種類ごとに設定」する案を示した。

 「患者申出療養」については、具体的な制度設計案が了承され、今後これを基に運用方法について、省令、告示、通知が示されることになった。

 設計案では、「患者申出療養」について、「困難な病気と闘う患者の思いに応えるため、先進的な医療について、患者の申し出を起点とし、安全性・有効性などを確認しつつ、身近な医療機関で迅速に受けられるようにするもの」と定義。いわゆる「混合診療」を無制限に解禁するものではなく、皆保険堅持が前提の制度だと説明している。

 また、その仕組みとしては、「患者申出療養」として、初めての医療を希望する場合は、患者は臨床研究中核病院の意見書などを添えて国に申請。国は評価会議で審議し、実施を承認した場合は告示するとともに、意見書を作成した中核病院経由で患者に原則6週間以内に通知するとしている。

 一方、既に「患者申出療養」として前例がある医療を希望する場合、患者は前例を扱ったことがある中核病院に申請。そこで実施を認めれば、原則2週間以内にその医療を受けることができるとしている。

 なお、9月30日の日刊紙に「混合診療400病院に拡大」との記事が出たことに対して、中川俊男副会長は、「患者団体から指摘された心配を逆なでする記事である」とし、厚労省に対し、報道関係者に対する慎重な対応を要請した。

 7日の総会では、「診療報酬改定結果検証部会からの報告について」として、「同一建物同一日の訪問診療等の適正化による影響調査」「後発医薬品の使用状況調査」についての最終報告が提出された。

 「後発医薬品の使用状況調査」では、「後発医薬品名で処方された医薬品」のうち、「変更不可となっている医薬品」が昨年度の22・8%から44・8%と約2倍に増加したことについて議論。

 支払側の白川修二委員(健保連副会長)が、「医師による医薬品の銘柄指定が薬剤師にとって、患者さんと相談して調剤する権利を失うことになり異常事態である」と指摘したことに対して、中川副会長は、「医師は患者の体調を診て処方している。後発品の銘柄指定をすることは医師の処方権である」と反論した。

 また、後発品を選ぶ理由に「医療費の安さ」を挙げた患者がいることに対して、鈴木邦彦常任理事は、「院外処方よりも院内処方の方が安いので、その点を患者に説明する必要がある」とした。

 「在宅医療」では、次期診療報酬改定に向けた在宅医療の3回目の議論となり、在宅専門の医療機関の取り扱いを含めた方向性について、診療・支払両側の意見がほぼ一致した。

 鈴木常任理事は、「かかりつけ医の外来の延長に在宅があるということが基本であり、在宅専門の医療機関の役割としては、かかりつけ医を補完し、地域の医師会に入って、地域包括ケアシステムの中で、かかりつけ医と連携して在宅医療を行うことが必要」と指摘。

 中川副会長は、「地方では、絶妙なバランスをもって限られた医療資源の中で医療を提供しているが、そこに、土足で踏み込んでくるのではないかとの懸念がある。株式会社が関与してモラルハザードを発生した同一建物の問題を二度と起こしてはならない」と強調した。

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