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平成27年(2015年)11月20日(金) / 日医ニュース

ストレスチェック制度の実施を控え体制づくりを協議

ストレスチェック制度の実施を控え体制づくりを協議

ストレスチェック制度の実施を控え体制づくりを協議

 第37回産業保健活動推進全国会議が10月15日、日医会館大講堂で開催された。
 冒頭、あいさつに立った横倉義武会長(今村聡副会長代読)は、産業保健3事業の一元化により、全都道府県に産業保健総合支援センターが設置されてから1年余りが経過したことに触れ、「ここに至るまでには、社会常識を逸脱した見直しが極めて短期間で断行され、現場が著しく混乱した。都道府県・郡市区医師会が困難な課題を克服し、事業を引き受けた英断に対し非常に心強く感じた」と、謝意を述べた。
 更に、労働安全衛生法の改正により、労働者へのストレスチェック実施の義務づけが本年12月より施行されることに触れるとともに、「近年では治療を受けながら就労を続ける労働者も増加しており、労働者に対する治療と就労支援が新たな課題となっている。本事業において期待される産業医の役割はますます増大する」とした。
 その上で、「都道府県・郡市区医師会が安心して主体的に取り組むことができる環境づくりのために、厚生労働省との折衝を続ける」として、都道府県医師会並びに関係団体の支援を求めた。
 その後、活動事例報告として、益田元子大阪産業保健総合支援センター運営主幹、松本吉郎大宮地域産業保健センター代表、武石容子大宮地域産業保健センター地域運営主幹から、それぞれの地域における産業保健事業の取り組みが紹介され、質疑応答が行われた。

ストレスチェック制度開始に向けて実施プログラムを公表
 午後には、道永麻里常任理事の司会の下、説明並びに報告会が行われた。
 武田康久厚労省労働基準局安全衛生部労働衛生課長は、ストレスチェック制度の施行に向けた準備状況について説明。
 今後の予定として、「ストレスチェック実施プログラムを厚労省のホームページで公表」「面接指導を実施する医師向けのマニュアルの作成」「政府広報による制度広報用動画の作成」などを行うとし、「制度に関する資料は厚労省のホームページに随時掲載するのでチェックして欲しい」とした。
 相澤好治日医産業保健委員会委員長は、同委員会で日医認定産業医を対象に実施したアンケートの集計結果を説明。
 「産業医活動の課題として、業務増、スタッフ不足、連携の必要性増加が挙げられているが、その解決のためには、産業医の職務範囲や多職種との連携のあり方の検討が必要になる」とするとともに、「今後、ストレスチェック制度を普及させるためには、事業場側の体制づくり、研修の実施・マニュアルの作成の他、制度の周知・支援が求められる」との考えを示した。
 続いて、堀江正知日医産業保健委員会副委員長が、産業保健総合支援センター地域窓口に協力している郡市区医師会を対象に行ったアンケート調査の結果を報告。
 現時点では、「地区医師会の発意による企画や活動をできるだけ実現させること」「専門職による事務作業の負担をできるだけ軽減すること」「優秀なコーディネーターを確保し、身分を保証し、育成すること」に資源を集中させることが急務となっているとした。
 協議では、相澤委員長の司会の下、道永常任理事、厚労省の武田課長、亀澤典子労働者健康福祉機構理事、岩﨑伸夫産業医学振興財団事務局長の4氏が、6県医師会と1センターから事前に寄せられた質問に回答。
 日医の医師賠償責任保険との兼ね合いについて問われた道永常任理事は、「日医の医賠責保険は、あくまで医行為に対する賠償保険なので、産業医業務は原則カバーされない。現行の医賠責に上乗せ等を行い、カバーできるように新たな方法も検討している」と回答した。
 その他、「ストレスチェックによる業務量増大への対応」「50人以下の事業場への対応」などの質問・要望についてそれぞれ回答を行い、盛会裏に会は閉会となった。

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