平成27年度臨床検査精度管理調査報告会が3月4日、日医会館大講堂で開催された。
担当の羽鳥裕常任理事の司会で開会。冒頭、あいさつに立った横倉義武会長(羽鳥常任理事代読)は、「生涯を通じた健康管理の重要性が増す中で全国のどの医療機関で検査をしても、正確かつ同じ結果が得られることは、医師はもとより国民からも求められていることだ」として、検査の標準化並びに精度の向上に努めていく意義を改めて強調。参加者に対しては、本報告会で研鑽(けんさん)された結果を、日々の臨床検査の更なる向上に反映して欲しいと要望した。
引き続き、3199施設が参加して行われた第49回臨床検査精度管理調査の報告に移り、(1)臨床化学一般検査・脂質検査(高木康日医臨床検査精度管理検討委員会委員長)、(2)臨床化学一般検査(細萱茂実同委員会委員)、(3)臨床化学一般検査・糖代謝・尿検査(菊池春人同委員会委員)、(4)酵素検査(前川真人同委員会副委員長)、(5)甲状腺マーカー・感染症マーカー・リウマトイド因子(〆谷直人同委員会委員)、(6)腫瘍マーカー(山田俊幸同委員会委員)、(7)血液検査(髙松純樹同委員会委員)、(8)測定装置利用の動向(金村茂同委員会委員)─についての講評が行われた。
高木委員長は総括の中で、集計作業上の問題点として誤記入が見られたことを挙げ、その改善を要請。調査に便潜血を追加することに関しては、アンケート調査の結果にも触れながら、「便潜血の調査を加えるとどうしても参加費を値上げせざるを得ないことから、試料が安くなった段階で調査に加えたい」との考えを示した。
また、今後の課題に関しては、同一施設内の複数機器・試薬(緊急検査用や装置)に対する調査の導入を挙げた。
その後は、参加者からの個別具体的な質問に対して、各委員が回答。共用基準範囲を採用することに関しては、羽鳥常任理事が、「採用を推奨していることに変わりはない」との日医のスタンスを説明した上で、①日医の調査でも、採用している施設が6%しかない②臨床判断値との違いが国民に正しく理解されていない─などの課題を挙げ、今すぐには難しいとの考えを示した。
また、同常任理事は、医療健康情報の大規模収集の動きが活発化している状況の中で、日医の取り組みとして、各健診団体と共に「日医健診標準フォーマット」を作成して、データの収集に努めていることを紹介し、理解と協力を求めた。
参加者は670名であり、報告会は盛会裏に終了となった。