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平成29年(2017年)1月5日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

平成29年度予算についての見解を示す

 横倉義武会長は昨年12月21日、平成29年度の政府予算案が固まったことを受けて記者会見を行い、日医の考えを説明した。
 横倉会長は、まず、平成29年度予算に関して、平成28年度に引き続き、社会保障関係費の伸びに一定のシーリングがかけられた中での予算編成となったことについて、「平成29年度の自然増が大きければ、平成30年度の同時改定時に必要な財源が確保できなくなる懸念があったが、結果的に自然増は5000億円となり、同時改定が行われる平成30年度に削減の積み残しをされなかった」と指摘。「平成30年度の予算編成過程に向けて、国民が安心して医療や介護を受けることができるよう、引き続き同時改定の財源確保を強く求めていきたい」とした。
 社会保障費の自然増を5000億円とするに当たって、「高額療養費の見直し」「後期高齢者の保険料軽減特例の見直し」「入院時の光熱水費の見直し」「高額薬剤の薬価引き下げ」「高額介護サービス費の見直し」「介護納付金の総報酬割の導入」が行われることに関しては、「日医では以前から、社会保障の理念に基づき、所得や金融資産の多寡に応じた応能負担の議論を行うべきと主張してきており、今回、応能負担の考え方が採り入れられたことには一定の評価をしたい」と述べた。
 その一方で、年収155万円から370万円までの高齢者も限度額が引き上げられることになったことに関しては、「今回は厳しい国家財政の状況から引き上げの判断がなされたが、平成30年度末までに検討される金融資産の保有状況を考慮に入れた負担のあり方について、きめ細やかな対応が必要」との考えを示した。
 また、大臣折衝事項における「かかりつけ医の普及の観点からの外来時の定額負担」については、平成29年末までに「病院への外来受診時の定額負担に関し、現行の選定療養による定額負担の対象の見直しを含め、関係審議会等において具体的な検討を進め、結論を得る」、平成30年度末までに「かかりつけ医の普及を進める方策や外来時の定額負担の在り方について、関係審議会等において更に検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずる」こととされている。
 本件については、「かかりつけ医を持つことの重要性という点ではその方向性は一致しているが、かかりつけ医のあり方を含め、更なる検討が必要」と指摘。「現状ではまだ国民一人ひとりがかかりつけ医を持つ段階には至っておらず、まずは国民がかりつけ医を持つよう普及に努めるべき」とするとともに、「大病院と中小病院・診療所の外来機能についても、引き続き検討を進めていかなくてはならない」と述べた。
 「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」については、「これまでの薬価算定の仕組みを根本的に見直すべきであり、その際にはいかに公的医療保険制度を維持しつつ、必要としている患者に新しい医薬品を使用していくかという視点が重要になる」との日医の考えを改めて説明。現在の薬価制度の問題点については、「中医協でしっかりと議論すべきである」とした。
 その上で、横倉会長は、「社会保障費の財源不足により、地域で必要かつ十分な医療・介護が受けられなくなれば、最も不利益を被るのは地域の住民であり、国民が安心して医療や介護を受けられるように、必要な財源はしっかりと確保しなければならない」と強調。「国民皆保険を堅持し、持続可能な社会保障のために、我々医療側からも症状や患者特性に応じてコスト意識を持った処方を『診療ガイドライン』に掲載する等、学会活動の支援などに取り組み、結果として過不足ない医療提供ができるよう、今後も提言していきたい」とした。

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