第1回中央医療事故調査等支援団体等連絡協議会(以下中央協議会)が昨年12月28日、29の構成団体を集めて、日医会館で開催された。
昨年6月24日に施行された医療法施行規則の一部を改正する省令では、医療事故調査等支援団体は医療事故調査の支援を行うに当たり必要な対策を推進するため、共同で協議会を組織できる旨が規定された。
また、同日付で発出された厚生労働省医政局総務課長通知において、本協議会は、地方組織として各都道府県の区域を基本として1カ所、中央組織としては全国に1カ所設置されることが望ましいとされた。
これを受けて、日医では、医療事故調査等支援団体相互の連携を図ることは医療事故調査制度の円滑な運営を進める上で必須であるとの認識の下、特に中央の協議会を早急に発足させるため、昨年9月に、日本医学会、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、全国医学部長病院長会議、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会に呼び掛けて発起人会を設置するなど、中央協議会発足に向けた準備を進めてきた。
中央協議会は、今村定臣常任理事の司会で開会。冒頭あいさつした横倉義武会長は、「医療事故調査制度は長年の議論の末にできあがったものであるが、全てが完ぺきなものではない。微調整をしながら制度の内容を高めていくことが大事であり、そういった意味においても中央協議会の意義は大きい。本制度は事故の原因究明を通じた再発防止と医療の質の向上を目的としているが、同時に医療そのものの理念である、国民(患者)と医療者の間の信頼関係の向上という視点も重要である。こうした考え方や理念を協議会で共有したい」と述べた。
また、髙久史麿日本医学会長は、日本医療安全調査機構が運営している医療事故調査・支援センターについて、「本日ご出席の皆さんのご支援がなければうまく機能していくことはできない」として、引き続いての協力を求めた。
出席者の紹介の後、今村常任理事が、これまでの経緯として、①発起人会を2回開催し、検討してきたこと②検討の中では、中央協議会を発足させるためには規約が必要ということになり、ワーキングチームをつくってその案を作成したことなどを説明。その上で「規約(案)」の全文を朗読し、満場一致で「規約(案)」は了承された。
引き続き、中央協議会の会長、副会長の選定に移り、互選により、会長には横倉会長が、副会長には西澤寛俊全日本病院協会長及び有賀徹全国医学部長病院長会議・大学病院の医療事故対策委員会委員長の2名がそれぞれ選出された。
中央協議会の今後の進め方に関しては、横倉会長が、より機動的な運営を行っていくため、発起人会の構成団体をメンバーとした運営委員会を中央協議会の下に設置することを提案し、了承された。
その後に行われたフリーディスカッションでは、「専門家・専門医との連携がうまくいっているところと、そうでないところがある」「うまくいっていないところには中央から支援できる仕組みが必要」といった意見や、「医療従事者・管理者の中には依然として、医療事故調査制度のことを理解していない人もいる。その対応をお願いしたい」との要望も出された。
最後に、オブザーバーとして参加した名越究厚生労働省医政局総務課医療安全推進室長から、「本日これだけ多くの団体にお集まり頂いたことを大変心強く思っている。医療事故調査制度は、国民、マスコミからの注目度も高く、本中央協議会の議論を通じて、制度の安定的な運営、国民の信頼につなげていって欲しい」とのあいさつがあり、中央協議会は終了となった。
記者会見
各地域での取り組みが円滑に進むよう努める―横倉会長
中央協議会終了後には、横倉会長、髙久日本医学会長、今村常任理事が出席して、記者会見を行った。
横倉会長は、中央協議会発足までの経緯や、当日の審議内容等を説明。今後については、「適宜会合を開き、中央における支援団体相互の連携を進め、各地域での取り組みが円滑に進むよう総合的な連絡調整に努めていきたい」と述べた。
髙久日本医学会長は、「日本医療安全調査機構が運営している医療事故調査・支援センターの事業が円滑に進むためには支援団体の協力が不可欠であり、本日中央協議会が発足したことは大変心強い」とした。
補足説明を行った今村常任理事は、中央協議会の活動について、「全国の各都道府県に置かれた協議会の活動の標準となるような内容にしなくてはならない」とした上で、「具体的には、運営委員会において実務的な活動を進め、重要な局面では中央協議会を開催していくといった運用になる」との考えを示した。
中央医療事故調査等支援団体等連絡協議会構成員
※発起人会メンバー
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問い合わせ先
日本医師会医事法・医療安全課 TEL:03-3946-2121(代)