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平成30年(2018年)4月5日(木) / 日医ニュース

医療事故調査制度の運用状況や課題を共有

医療事故調査制度の運用状況や課題を共有

医療事故調査制度の運用状況や課題を共有

 平成29年度都道府県医療事故調査等支援団体等連絡協議会合同協議会が3月7日、日医会館小講堂で開催された。
 現在、医療事故調査等支援団体は全国に約1000団体あり、各都道府県医師会を中心とした「支援団体等連絡協議会」で連絡調整を行っているが、本合同協議会はこの地方組織の代表者と、29の構成団体からなる中央組織「中央医療事故調査等支援団体等連絡協議会」(以下、中央協議会)、日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)、厚生労働省が一堂に会し、初めて開催されたものである。
 今村定臣常任理事の司会で開会。冒頭、あいさつに立った横倉義武会長(中央協議会長)は、平成27年10月から開始された医療事故調査制度について、「開始当初から多くの疑問や不安が寄せられ、まずは制度を走らせながら不具合を修正し、完成させていくとしてきたが、2年半が経過し、いわゆる『センター調査』まで完了した事例も出ている。まさに今こそ、さまざまな課題や問題点を解決し、この制度を医療関係者と国民双方にとっての財産に育てていくことができるかどうかの正念場と言える」と述べ、忌憚(きたん)のない意見交換を求めた。
 続いて、今村常任理事が本合同協議会の趣旨について説明し、「医療事故調査制度を円滑に実施する上で、各地の支援団体等連絡協議会が、地域の枠を超えて情報と意見を交換することには大きな意義がある」と強調した。
 その後、4件の報告が行われた。
 まず、(1)医療事故調査制度の運用状況について、田中慶司日本医療安全調査機構専務理事は、「本制度における医療事故は、おおむね毎日1件、月に30件というペースで報告されている」とし、2月末時点の累計では、①医療事故報告912件②院内調査結果報告607件③相談4586件④センター調査の依頼62件―となったことを説明した。
 また、木村壯介同機構常務理事は、遺族からの相談が増える傾向にあることを図示するとともに、全体の約6割を占める「医療事故報告対象の判断についての相談」の半数は、制度開始前の死亡事例や生存事例に関する相談であるとし、一般の人にはまだ制度が十分に理解されていない点を指摘した。
 「センター調査」については、再発防止を図ることが目的であり、個人の責任追及のためではないことを強調。また、事例ごとに専門的見地を有する複数の委員を選出し、事実確認や調査・分析を行うため、「院内調査」の結果と異なる場合もあることから、検討した内容やその根拠について丁寧に記載し、説明を尽くしているとした。
 (2)全国の医療事故調査等支援団体等連絡協議会の設置状況ならびに支援団体の活動状況に関しては、今村常任理事が、日医が昨年3月15日から4月17日にかけて都道府県医師会を対象に行った支援団体活動の調査概要を紹介した。
 相談体制については、約半数の医師会が会員に限定せず、会員外の医療機関からの相談にも対応していることから、「多くの医師会が地方協議会の窓口としての役割をしっかりと果たしている」と評価。相談業務に関わるマンパワーについては、「一日当たり平均で医師3・8人、事務職が1・9人必要であり、約4割の医師会が、相談対応者の人数や質に関して不足していると回答している」と述べた。
 更に、同常任理事は、(3)医療事故調査制度セミナーの実施状況として、平成29年度の管理者・実務者セミナーの参加者が、7都市の会場合計で728名であったことを報告した。
 (4)支援団体等連絡協議会運営事業助成費の申請に関しては、同常任理事が、協議会として行う会議・研修費用を対象とした助成であり、医師会独自の事業は対象外である点に注意を促した。
 協議では、医療事故調査に関する人材の育成について、今村常任理事が論点を概説。実際の事故調査では、死因と病態の解明が最も重要となるが、そのためには医学的な仮説検証の繰り返しと関係者からの丁寧な聴き取りが不可欠であり、こうした地道な調査を遂行できる人材の育成に取り組むことの重要性を強調した。
 質疑では、各都道府県協議会から事前に寄せられた質問・意見について回答するとともに、意見交換を行った。
 最後に西澤寬俊中央協議会副会長(全日本病院協会常任理事)より、「指摘された課題については、今後、中央協議会、厚労省、医療事故調査・支援センターが緊密に連携を取り合って克服していきたい」とのあいさつがあり、合同協議会は終了となった。

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