横倉義武会長は1月11日、今年初めての定例記者会見に臨み、新年にあたっての所感を述べた。
横倉会長は冒頭、『医師の職業倫理指針』を昨年、8年ぶりに改訂し、第3版として刊行したことに触れ、「遺伝子をめぐる課題」を新たな項目として追加した他、改正個人情報保護法や医療事故調査制度関係の記載を盛り込むなど、全般的な見直しを行ったと説明した。
その上で、「国民の健康を守ることが医師の役割であり、その医師の集団が医師会である。精神保健指定医等の問題もあったが、改めて倫理を順守するよう働き掛ける所存である」と述べるとともに、本年も「日本医師会綱領」を旗印とし、理念を高く掲げ、国民の健康、そして国民医療を守る主張をすることによって、真に国民に求められる医療提供体制の実現に向け、執行部一丸となって対応していく考えを示した。
また、日医が昨年6月に公表した「日医IT化宣言2016」について、医療分野のIT政策全体を包括する内容となっているとして、本年も引き続き、従来以上に力を入れて患者の医療情報を厳格なセキュリティで守りつつ、医療分野のIT化に取り組んでいく考えを強調。加えて、昨年10月に総務省などが後援する「第10回ASPICクラウド・IoTアワード2016」において、日医治験促進センターの治験業務支援ソフト「カット・ドゥ・スクエア」が4年連続の受賞となる「社会・業界特化系グランプリ」を、また、「治験計画届作成システム」が2年連続の受賞となる「ベストイノベーション賞」をそれぞれ受賞したことも紹介した。
更に、日医が各地域に即した「まちづくり」を推進してきたことにも言及し、「高齢者の尊厳を保ち、住み慣れた地域でいつまでも健康に過ごすことができる社会を実現するためには、『高齢者の生きがいづくり』を進めるとともに、地域に根差した『かかりつけ医』がその機能を発揮しなければならない」と主張。その実現のために、「日医かかりつけ医機能研修制度」を昨年スタートさせたとし、「かかりつけ医」を定着させるよう、本年もしっかりと取り組んでいく意向を示した。
最後に横倉会長は、「昨年11月、安倍晋三内閣総理大臣に、医学研究に優れた功績を挙げられた方々を顕彰する『内閣総理大臣賞』の創設を要望したが、本賞の創設が実現し、医学研究に携わる先生方の励みとなることを願っている」 と述べるとともに、併せて、11月1日を語呂合わせで『いい医療の日』とするよう働き掛けていきたいと結んだ。
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