平成29年(2017年)4月5日(水) / 各地の医師会から / 日医ニュース
地域医療連携(しまね医療情報ネットワーク)を活用した感染症デイリーサーベイランスについて―島根県医師会―
都道府県医師会だより
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島根県では、ICTによる地域医療連携(通称まめネット)を運用している。
平成25年1月より全県の医療機関全てに医療専用のネットワークを構築し、現在84%の病院と46%の医科診療所の他、歯科、薬局、訪問看護、介護施設、保健所等々たくさんの医療関連施設に参加頂いている。
その中では、ネットワーク基盤のインフラを利用して、例えば、診療予約、HPKIを活用した紹介状システム、診療情報の共有システム、介護連携システム、健診連携、調剤情報連携等、圏域の医療ニーズに応じた連携アプリケーションを構築・運用している。
管理運営している実働部隊としては、NPO法人しまね医療情報ネットワーク協会があり、理事長、副理事長に県医師会の副会長、常任理事が就任し、密接な連携をとっている。
今回報告する「感染症デイリーサーベイランス」は、医療専用の安全なネットワーク基盤を活用し、「まめネット」を利用している全ての会員が閲覧でき、既存の「感染症発生動向調査」よりも早く情報を発信し、実用性のある感染症の流行把握と診断、対策に寄与するものになるよう提案されたものである。
主に県医師会が中心となって、月1回の頻度で感染症デイリーサーベイランス運営委員会を開催し、委員の先生方の他、県の医療政策課、薬事衛生課、保健環境科学研究所等、まさに官民一体となってシステムを構築し、現在その運営に当たっている。
このデイリーサーベイランスの日々の入力に協力している医療機関は、国の事業として実施している「感染症発生動向調査」で行われている週1回まとめてFAX送信する方法の代わりに「まめネット」の中で入力すれば速やかに報告でき、全参加機関で情報を共有することになる。
行政定点は県内で45あるが、そのうち31医療機関が入力に参加、その他定点医療機関以外に協力医療機関として88医療機関が日々入力に参加し、精度の高いサーベイランスになっている。
また、全ての感染症を対象としており、まめネットのポータル画面に表示されるようになっている。更に、注意報あるいは警報が出た場合には、メールによる報告も併用し、より注意喚起できるような工夫も行っている。