日医定例記者会見 4月12日
鈴木邦彦常任理事は、自らが団長を務める「日医・民間病院アメリカ医療・福祉調査団」が報告書「ダイナミックに変化するアメリカ医療―オバマケアの成果とトランプ後の行方―」を取りまとめたことを報告し、その内容を説明した。
同調査団は、医療関係者と学者の10名ほどで組織されており、平成20年からヨーロッパ諸国等の医療の実態を把握するため、各国の訪問調査を実施。鈴木常任理事が日医常任理事となった平成22年からは日医からも支援を行っている。
今回は、オバマケア以降のアメリカの医療改革の動向を調査するため「アメリカ医療・福祉調査団」を結成。平成28年5月1~6日の日程で、アメリカのワシントンD.C.及びニューヨークに所在する医療機関、メディケア・メディケイドセンター(CMS)等を訪問調査した。
報告書は、(1)調査の総括と提言について、(2)調査団名簿、(3)日程表、(4)報告書(各調査団員による報告書)、(5)質疑応答資料、(6)訪問先説明資料、(7)講義資料―で構成されている。
報告書では、オバマケアの導入により、無保険者が2010年の16%(4900万人)から2015年には9・1%(2900万人)と大幅に減少したことは評価されるべきとする一方、保険でカバーされるサービスの対象が広がったことや競争原理によって市場が成り立っていること等による医療費の高騰に伴い、保険料が大幅に上昇しているアメリカの現状やその状況を踏まえて、アメリカにおける医療の質と費用の管理等への対応について調査した結果を紹介。
更に、アメリカの医療は自由主義に基づいて行われていることから、入口での規制ができないため、出口の支払いのところでさまざまなコントロールが試みられていることに着目し、オバマケアにおける医療提供体制改革において、医療の質を向上させ、医療費抑制を目指す組織として設置されたACO(Accountable Care Organization:責任あるケア組織)について調査した結果の概要についても詳細に触れられている。
同常任理事は、今回の訪問先にアメリカを選んだ理由について、「先進各国の医療制度の違いが縮小傾向にあるが、わが国に対するアメリカの影響力の大きさを考えると、アメリカの医療改革の動向を調査する必要があると判断した」と説明した上で、「アメリカの医療は多様な制度で分かりにくいが、報告書では、最新のオバマケアの成果やトランプ政権下のアメリカの医療保険制度の行方についても詳しくまとめられており、ぜひ参考にして頂きたい」と述べた。
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