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平成29年(2017年)5月20日(土) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

財政審財政制度分科会の議論に対する日医の見解示す

日医定例記者会見 4月26日

 横倉義武会長は、4月20日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会において、財務省から医療分野26項目、介護分野4項目の改革項目と方向性が示されたことに対する、日医の見解を表明した。
 同会長は、まず、「金融資産等を考慮に入れた負担を求める仕組みの医療保険への適用拡大」について、日医では以前から、社会保障の理念に基づき、所得や金融資産の多寡に応じた応能負担を行うべきと主張してきたことを説明。
 また、「新薬創出加算のゼロベースでの抜本的見直し」については、イノベーションの推進のために、医薬品・医療機器産業へ税制や国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の補助金等の活用により、医薬品は公的医療保険の診療報酬の加算を原資に使うことなく、イノベーションの恩恵を社会全体に広く還元できるとした上で、国民に還元する際には、公的医療保険の財源として有効活用すべきとの考えを示した。
 一方、財政審の提言する改革のうち特に課題が多い項目として、「医療費適正化に向けた都道府県の権限の整備」については、「医療は社会全体で均一に維持され、誰もが等しく受益できる公共的な社会的共通資本であり、郵便や公共放送と同様に、地域によって分け隔てなく、全国一律の単価で提供すべき」と指摘。
 また、「病床再編に向けた都道府県の権限の整備」に関しては、「まずは、公立病院が非稼動病床を削減し、確実にダウンサイジングすることが重要」との考えを示した上で、「公立病院への繰入が減っても、これまで活用していた地方交付税の補助金を他の財源に振り替えることなく、これまで通り社会保障財源として活用すべき」とした。
 更に、財政審に提出された参考資料に、診療報酬本体と賃金・物価の動向を1995年度を100として指数化したグラフが掲載されていたことに対しては、「これにより、診療報酬本体は賃金や物価水準に比べて高い水準となっているとされているが、安倍政権が発足し、アベノミクスが始まった2012年度を起点とすると、2016年度の診療報酬本体の水準は賃金や物価よりも低くなり、恣意(しい)的であると言わざるを得ない」と指摘。
 その上で横倉会長は、高齢になっても安心して医療や介護を受けられることを示し、国民の不安を解消する政策の実行が求められているとするとともに、「社会保障を充実させることは、雇用の創出・拡大につながるだけでなく、経済成長とローカルアベノミクスを通じて賃金の上昇をもたらす。この好循環の形成が国民の将来不安の解消につながるものと考えている」と述べた。

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