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令和8年(2026年)6月10日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

男女共同参画委員会答申について

 松岡かおり常任理事は6月10日の定例記者会見で、去る5月19日に、小泉ひろみ男女共同参画委員会委員長(秋田県医師会長)から松本会長に答申が手交されたことを報告。本答申は、会長諮問「男女ともに活躍できる医療界を目指して」を受けて取りまとめられたもので、(1)はじめに、(2)各種調査の概要、(3)調査結果から見えた課題と対応策、(4)おわりに―で構成されており、(2)では四つの調査概要が、(3)では調査結果より見えた課題5項目と対応策がまとめられているとして、その内容を紹介した。

『答申について』
 同常任理事はまず四つの調査の概要を説明。「勤務医会員数・勤務医部会設立状況等調査」では、11月時点の各都道府県の医師会会員数、役員数、勤務医数、女性医師数について調査しており、いずれのカテゴリも女性会員数は約2割で、女性役員数は緩やかに増加傾向にあるが、日本医師会の女性代議員は減少しており、会員数増加に役職者が追い付いていない状況にあるとした。

 その上で、「女性医師の勤務環境の現況」に関しては、1)病院に勤務する女性医師は短時間正職員が増加しており、常勤以外の働き方を選ぶ理由は「育児」が最も多く、次いで「家庭」が多い2)休職・離職経験者は減少しているが、休職・離職理由の第一位は「出産」で、次いで「子育て」とライフイベントによる―ことが明らかになったと説明した。

 「男女共同参画についての男性医師の意識調査」に関しては、1)前回調査(平成26年)から10年が経過した2回目の調査であり、前回調査では、男性医師の配偶者・パートナーは6割以上が専業主婦であったが、今回調査では4割まで減少し、1週間の勤務時間は2割以上が60時間以上の長時間労働となっている2)同居配偶者・パートナーのいる男性医師の家事参加状況については、理想としては多くの家事を「男女同等にすべき」との回答が多かったが、現実にはまだ女性の負担が大きい状況が続いている―ことが示されているとした。

 また、育児休暇を取得した男性医師に関しては増加傾向にあるが、今回調査でも1割に過ぎず、育児休暇を取らなかった理由は「多忙」が44%、「考えたことがなかった」が35%となり、制度の周知とともに、育児休暇を取りやすい環境整備の必要性が示唆されているとした。

 配偶者の家事・育児への協力度については、男性医師の家事参加への意識向上の他、女性医師の配偶者・パートナーの家事協力に対する満足度も上がっており、家事は等分ではなく、双方が納得する形で行うものであり、男性も家庭参加できるよう育児休暇が取れる働き方を目指し、外部サービスの利用も選択肢であることが述べられていることを紹介。

 更に、臨床研修病院1,111施設に向けて行った男女共同参画についてのアンケート調査については、女性医師割合、医師管理職に占める女性割合のいずれも上昇しており、院長・副院長が女性である病院も増加しているものの、令和7年で院長・副院長が女性である病院は13.5%といまだ低水準にあることを説明。

 「男女でキャリア形成に差があると思うか」という設問に関しては、「差がある」が約87%と多数であり、管理職に就く機会についても「平等」と回答した男性医師が約42%に対し、「男性優遇」は約52%と半数を上回っていることが示されているとした。

 その上で、男性医師が思う「女性が管理職になりにくい理由」については、「育児や家庭の事情で時間的制約がある」が最多である一方、「管理職を希望する女性がいない」「女性管理職のロールモデルがいない」との意見も見られ、「アンコンシャス・バイアスがあると感じるか」という設問に対しても、半数以上が「特に感じない」と回答した半面、「出産・育児でキャリアを中断する」「手術や体力のある仕事に向かない」という意識も根強く存在していた。女性医師は増加傾向にあるが、管理職になる女性を育てる段階に至っていないことが指摘されているとした。

 勤務実態から見えた課題と対応策に関しては、「勤務構造の課題(長時間労働と人員不足)」に対して、1)男女共に休暇を取得できる仕組みづくり(チーム制、タスクシェア・シフトの推進、意識改革、財政支援等)2)日医ドクターバンクの整備とセミリタイア医師の活用による負担分散3)休暇を支える医師へのインセンティブの付与―が必要であり、休む人と支える人双方が気持ちよく働ける環境の構築等が重要である。また、「文化・意識の課題(アンコンシャス・バイアス)」に対しては、現在実施している講習会等の場を利用し、意識改革を働き掛けていくことが、さらに、「キャリア構造の課題(管理職登用とキャリア形成)」に対しては、「ポジティブ・アクションを実施して女性管理職登用を推進する」「復職支援や専門医制度におけるライフイベントへの配慮を強化する」といったキャリア支援がそれぞれ必要であるとされているとした。

 勤務環境と支援体制については、1)女性専用設備の充実2)ハラスメントへの教育や窓口設置の働き掛け3)緊急時の子どもの預け先拡充―が挙げられている。今期の男性医師の調査では、制度改革の影響について聞いており、「新専門医制度は男女共にキャリア形成するための配慮がされているか」の設問に対して、「わからない」が約6割であった一方で、「そう思わない」と回答した医師からは「ライフイベントとの両立が困難」「手続きが煩雑」といった意見が寄せられていること、専門性の明確化や質担保のために重要な制度であるが、運用の過程で生じた課題を整理し、柔軟に対応して制度を育てていく必要があることがそれぞれ述べられていることを紹介。

 「働き方改革が始まり、仕事と生活の調和が取りやすくなったか」の設問では、「思う」が52%、「思わない」が46%と半数に分かれ、医療機関による差異が明らかになったとした他、「働き方が変わらない」「世代による負担の偏り」「制限が増えた」等の意見も挙げられていることから、仕事量の調整や負担の分散といった工夫とともに、業務の特性に合わせた柔軟な仕組みを構築し、働きたい医師が働ける場所を提供することも重要だとまとめられているとした。

 新専門医制度と働き方改革については、別途調査に寄せられた現場の声を制度改革の基礎資料としてほしい旨の要望書が松本会長に提出されたことにも触れた。

 最後に、医師会として現場の声を上げていくことや、組織強化の重要性が述べられており、調査結果については改善が見られるものの、依然として当初の課題が残っていることも明らかになったとして、「男女共同参画は女性のための施策ではなく、多様な医療者が人生のどの局面にあっても医療に関わり続けられることである」とまとめられている。松岡常任理事は、日本医師会としても、引き続き、男女共に働きやすい医療環境づくりに取り組んでいく姿勢を示した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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