日医は7月25日に開催された平成29年度第12回常任理事会で、母体保護法指定医師の指定基準モデルを改定することを了承した。
人工妊娠中絶を行い得る医師の指定権は、母体保護法第14条において都道府県医師会に付与され、各都道府県医師会は、同法を順守し責務を全うしている。
しかし、昨年、指定医師でない医師が人工妊娠中絶を行うことができる場合は、技術習得のため研修機関で指導医(母体保護法指定医師)の直接の指導下においてのみとされているにもかかわらず、神奈川県や東京都で母体保護法指定医師の資格を有していない医師による人工妊娠中絶が行われるなど、母体保護法に関わる問題事案が続いていた。
日医では、この状況を極めて憂慮すべき事態であり看過できないと考え、急きょ、会内に「母体保護法等に関する検討委員会」(委員長:福田稠熊本県医師会長)を設置することを決定。今回の改定案は、同検討委員会で3回の議論を行い、取りまとめられたものである。
具体的な改定点としては、
・人工妊娠中絶の研修症例を経験する機会が少なくなっていることから、前回平成25年4月の改定では、「医療機関が単独では研修機関の要件を満たさない場合でも、医育機関や要件を満たす研修機関の連携施設として都道府県医師会に登録することにより『研修機関』と認めることができる。」と規定したが、都道府県医師会において、十分にこの連携施設の登録が進んでいないとの指摘があったことを踏まえて、「母体保護法指定医師の指定基準モデル及び細則」を改定し、研修機関及び研修機関の連携施設の申請・登録を明確化
・「指定医師研修機関の指定及び指定医師研修連携施設の登録の申請」の項目を新たに設け、都道府県医師会と研修機関及び研修連携施設の位置づけを明確化
―等が挙げられる。
今回の改定を受けて、今村定臣常任理事は、「これにより、研修機関の連携施設の一層の整備が図られ、多くの産婦人科医師に母体保護法指定医師を取得して頂ければありがたい」としている。