「日本健康会議2017」が8月23日、都内で開催された。
「日本健康会議」は、少子高齢化が急速に進展する日本において、国民一人ひとりの健康寿命の延伸と適正な医療について、民間組織が連携し、行政の全面的な支援の下、実効的な活動を行うために平成27年7月に発足した活動体で、経済団体、医療関係団体、保険者等の民間組織や自治体を含めた32団体が実行委員として名を連ねており、横倉義武会長が共同代表を務めている。
当日は、共同代表の三村明夫日本商工会議所会頭のあいさつで開会し、加藤勝信厚生労働大臣からの来賓あいさつが行われた。
第1部の「保険者の取組状況の報告~2年目を迎えた『宣言』達成状況の概要~」では、渡辺俊介同会議事務局長が、一昨年同会議で採択された8つの宣言「健康なまち・職場づくり宣言2020」の達成状況の確認のため、保険者全体を対象として実施した調査について報告。小林剛全国健康保険協会理事長、白川修二健康保険組合連合会副会長、原勝則国民健康保険中央会理事長からは、保険者の取り組み状況についてそれぞれの立場から説明がなされた。
また、尾﨑正直高知県知事並びに村井嘉浩宮城県知事がそれぞれ「健康寿命延伸・健康づくりへ先進県の戦略的取組」について報告した。
これらの報告を受けて横倉会長は、「日本健康会議 1年間の成果と今後に向けて」と題して講演し、「どの宣言も順調かつ確実に目標達成に向けて前進し、既に目標値を達成しているものもあるが、今後はその質についても更なる向上に努める必要がある」と指摘。
各保険者を始め、自治体、経済団体、医療関係者が連携し、「健康なまち・職場づくり」が全国に広がっていることについては、非常に喜ばしいとしつつ、日本の将来を見据えた時、世界に冠たる社会保障制度の堅持には多くの課題が残されているとした。
また、「平成29年度保険者データヘルス全数調査」の結果から、現在の状況と共に今後の道筋も見えてきたとして、「このデータについては、日本健康会議の目標の達成状況を『見える化』するポータルサイトへ情報掲載する他、調査回答から得られた結果・状況把握をレポートとして年内には全保険者へ報告する予定である」と述べた。
更に、日医の予防・健康づくり、生活習慣病の重症化予防、健康経営の普及・推進に向けた活動として、①「日医かかりつけ医機能研修制度」では、初年度となる昨年度は全国で約1万名、今年度もこれまでに約7000名が受講している②受動喫煙防止対策の強化・実現に向けて、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会と共に全国民を対象に署名活動を行った結果、264万3023筆の署名を集めた③本健康会議の重症化予防ワーキンググループが7月に取りまとめた「糖尿病性腎症重症化予防の更なる展開に向けて」を受け、今月、各地域における問題意識の共有と、現状と課題についての説明の機会を設け、更なる取り組みの推進について、各地域医師会へ協力を依頼した④本年3月に決定された「働き方改革実行計画」には、「治療と仕事の両立に向けて、主治医、会社・産業医と、患者に寄り添う両立支援コーディネーターのトライアングル型のサポート体制を構築する」ことが謳(うた)われており、日医では現在までに9万5487名の日医認定産業医を養成してきた⑤より良い医療の在り方について国民と共に考えながら、更なる国民医療の向上に寄与していくため、11月1日を「いい医療の日」と制定し、その普及を広く提唱している―こと等を紹介した。
また、横倉会長は、日本学校保健会の会長としての立場からも、「子どもを通じて家庭、そして地域に広がっていくことを考えると、国民の健康意識を高めるためにも各地域における子どもへの健康教育を一層進めていくことが重要になる」と強調。その上で、今後については、「国民の健康を願う思いを一つに、関係各所が手を携え、議論を交わし、研鑽(けんさん)を積む場所として本会議が機能していくことが、健康なまち・職場づくりを実現していく上で大きな力になる」と述べ、更なる協力を要請した。
午後からの第2部では、「健康経営優良法人2017の報告」として、健康経営優良法人2017の認定結果発表、表彰、事例発表等の後、「日本健幸都市連合の取組紹介」として、基調講演「日本健幸都市連合が目指すもの」等が行われた。