横倉義武会長、中川俊男副会長は11月9日、自民党本部で開かれた予算・税制等に関する政策懇談会に出席し、平成30年度予算概算要求において別掲の予算確保を要望するとともに、平成30年度予算編成における診療報酬改定のプラス改定を求めた。
今回のヒアリングには、日医を始め、医療系の17団体が参加した。
中川副会長は、国民医療費が過去の推計値をはるかに下回っていることを示した上で、「医療従事者数は2002年より約2割増えて300万人を超えているが、医療用消耗品などは技術料から包括して償還されており、医療従事者の人件費を圧迫する要因になっている」と強調。
一部の新聞報道において、診療報酬が「医師の人件費」とされていることに触れ、技術料には医師、看護師など医療従事者の人件費だけでなく、医業経営の原資をつかさどる設備関係費・ランニングコストや、医療機器・機材費等も含まれている点を指摘した。
また、2016年度の診療報酬本体の水準が、賃金や物価よりも低くなっていることを示し、「安倍晋三内閣総理大臣が、来春の労使交渉における3%の賃上げを要請したが、就業者の11・9%を占める医療従事者への適切な手当てを行い、アベノミクスから医療従事者が取り残されることがないようにする必要がある」と主張。
薬価改定財源を、過度な自然増抑制の埋め合わせではなく診療報酬本体に充当することや、ICT活用等、医療の高度化のための財源には、政府の成長戦略として別財源を充てることを求め、「日医では、社会保障の充実によって国民不安を解消することを提言している。平成30年度予算編成において、平成30年度診療報酬改定はプラス改定とすべきである」と述べた。
この他、税制改正要望の最重点4項目として、(1)医療の消費税問題の抜本的解決に向け、現行制度を前提に、診療報酬への上乗せ額を超える仕入れ消費税額を負担した場合には、その超過額を還付できる制度の創設、(2)医療の消費税問題の抜本的解決までの経過的措置として、医療機関が行う適切な設備投資への税制措置によって、消費税負担を実質的に和らげること、(3)地域医療確保のための個人開設医療機関への税制措置、(4)中小医療機関の設備投資支援に係る税制措置―を求めた。
その後、安倍総理との会談を終えて駆けつけた横倉会長も、「今回の医療経済実態調査では、非常に厳しい医療機関の実情が表れている。ぜひ、ご配慮頂きたい」と要請した。
平成30年度予算概算要求
1.地域包括ケアシステムへの予算確保 2.健康寿命延伸への予算確保 3.医療分野におけるICT活用への予算確保 4.感染症予防への予算確保 5.救急医療の充実への予算確保 6.災害対策への予算確保 7.医療安全への予算確保 8.医学・学術への予算確保 9.たばこ対策への予算確保 |