横倉義武会長は11月9日、総理官邸を訪問。安倍晋三内閣総理大臣と会談を行い、世界医師会長に就任したことを報告するとともに、次期診療報酬改定をプラス改定とすることを強く求めた。 |
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当日の会談で、横倉会長は、初めに、第4次安倍内閣が11月1日に発足したことに対する祝意を伝えた上で、自身が10月の世界医師会シカゴ総会において世界医師会長に就任したことを報告。就任式のあいさつでは、日本の国民皆保険のすばらしさや国民の健康寿命を世界トップレベルにまで押し上げてきたわが国の医療システムを世界に発信することで、世界中の人々の幸福の実現に貢献していく決意を示したことを説明し、「安倍総理のこれまでの支援・協力に深く感謝したい」と述べた。
平成30年度予算編成に関しては、資料を基に日医の考えを詳細に説明した。
国民医療費については、健康寿命の延伸や日本健康会議での取り組みなどにより、その実額は過去の推計値を約3兆円下回っていることを紹介。今後も医療側として過不足のない医療提供ができるよう努力していく意向を示した。
また、就業者に占める医療・福祉分野の就業者の割合が全国平均で11・9%と高く、昨今の医療機関の従事者数(常勤換算)も増えていると指摘。「安倍総理は来春の労使交渉における3%の賃上げを要請したが、医療従事者にも適切な手当てを行い、アベノミクスから医療従事者が取り残されることがないようにする必要がある」とするとともに、「医療に財源を投入すれば、特に医療従事者の比率が高い地方では経済の活性化により、経済成長を促し、地方創生への多大な貢献につなげることができる」と主張した。
更に、安倍総理が進める成長戦略としてのICT活用に関しては、診療は対面が原則であり、遠隔診療はあくまで補完的な役割であることを改めて説明した上で、ICTの活用等、医療の高度化には、政府の成長戦略として別財源を確保することを要請。「これにより、医療分野にとどまらず、日本が得意とする"ものづくり"や情報技術産業などが波及的に発展し、内需拡大が可能になる他、アジア諸国等への輸出も見込まれることから、更なる経済成長へとつなげていくこともできる」とした。
一方、診療報酬・介護報酬の同時改定に向けた財源に関しては、健康寿命の延伸や、医療側から適切な医療を提言していくことにより、医療費が過度に増えないように努めていくことが重要とするとともに、薬価改定、後発医薬品の使用促進以外の具体的な確保策として、①アベノミクスの果実の活用②成長戦略としてのICT活用③応能負担の推進④たばこ税の増税⑤自治体病院の病床数減少分等の財政措置の活用―等を提案した。
その上で、横倉会長は、今後は社会保障の充実によって国民不安を解消させることが大事になると強調。そのためにも、平成30年度予算編成においては、「医療従事者への手当て」と「成長戦略としての医療の高度化(ICT活用等)」に適切な財源を確保し、次期診療報酬改定をプラス改定とすべきであるとして、理解を求めた。
その他、当日は、例外規定のない受動喫煙防止対策の強化・実現を求めることを目指して、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会と共に、署名活動を実施したところ、264万3023筆もの署名が集まったこと、また、この署名を基に、加藤勝信厚生労働大臣に要望書を提出したことを報告。望まない受動喫煙をなくすためにも、受動喫煙防止対策を強化する法律案の早期成立を要望した。
横倉会長の説明に対して、安倍総理は提出した資料を見ながら熱心に聞き入り、一定の理解を示した。