平成29年度臨床検査精度管理調査報告会が3月2日、日医会館大講堂で開催された。
担当の羽鳥裕常任理事の司会で開会。冒頭のあいさつで横倉義武会長(羽鳥常任理事代読)は、平成29年6月の医療法等の一部改正により、医療機関内における検体検査の品質、精度の基準が医療法上に明記され、業務委託される検体検査についても、精度管理に係る基準を省令で定める旨が明確化されることになったことに触れ、「今後、法律の施行により、本会の実施する臨床検査精度管理事業の重要性が増大する」と指摘し、臨床検査の更なる向上に期待を寄せるとともに、日頃の精度管理事業への協力に謝意を示した。
引き続き、3245施設が参加して行われた第51回臨床検査精度管理調査報告に移り、(1)臨床化学一般検査①(三宅一徳日医臨床検査精度管理検討委員会委員)、(2)臨床化学一般検査②(細萱茂実同委員会委員)、(3)臨床化学一般検査③・糖代謝・尿検査(菊池春人同委員会委員)、(4)酵素検査(前川真人同委員会副委員長)、(5)脂質検査(高木康同委員会委員長)、(6)腫瘍マーカー(山田俊幸同委員会委員)、(7)甲状腺マーカー・感染症マーカー・リウマトイド因子(〆谷直人同委員会委員)、(8)血液学的検査(小池由佳子同委員会委員、天野景裕同委員会委員)、(9)測定装置利用の動向(金村茂同委員会委員)―についての講評が行われた。
高木委員長は総括の中で、集計作業上の問題点として、分類間違いや桁間違いなどの「誤記入」が見られること、「製造販売元」ではなく「販売元」を記入した施設が少なくないこと等を挙げ、「各検査室は、自施設の測定試薬のメーカー名、測定原理、基質、緩衝液、標準物質を知っておくべきである」と指摘した。
一方で、調査結果を見ると、トレーサビリティの確認や施設間互換性の確保など、全体的に非常に良くなっているとの認識を示した上で、同一施設内の複数機器・試薬(緊急検査用や装置)に対する調査等については今後の課題とした。
その後の総合討論では、参加者からの個別具体的な質問に対して、各委員が回答。トレーサビリティの確認の具体的な作業については、前川副委員長が解説した。
また、独立評価を行う理由については、高木委員長が、「何も不備のない参加施設にとって不利にならないため」と説明した他、精度管理項目の追加・変更の可能性に関しては、「来年度には便潜血を導入できたらと考えている。試料に費用がかかるが、参加施設には経済的負担が少なくなるような形にしたい。遺伝子検査や他の検査についても、経済的負担が少なく、3000施設に配ることが可能であれば、導入したいと思っている」と述べた。
最後に羽鳥常任理事が閉会の言葉を述べ、報告会は盛会裏に終了となった。参加者は673名。