「日医・全国自治体病院協議会懇談会」が5月16日、日医会館で開催された。
本懇談会は、2025年以降の医療提供体制を考える上で、地域の民間医療機関と公立病院を始めとする公的医療機関等の役割分担が重要な要素であることから、相互理解を深めつつ、諸問題を幅広く検討することによって、将来的な地域医療提供体制の構築に資することを目的として開催されたものである。
日医からは、横倉義武会長を始め、中川俊男・今村聡・松原謙二各副会長、石川広己・道永麻里・羽鳥裕・温泉川梅代・市川朝洋各常任理事が、全国自治体病院協議会(以下、全自病)からは、邉見公雄会長、中島豊爾・中川正久・小熊豊・原義人各副会長、竹中賢治・望月泉・仙賀裕・田中一成各常務理事が、また、吉田茂昭全国病院事業管理者協議会長及び押淵徹全国国民健康保険診療施設協議会長が、それぞれ出席した。
当日は、市川常任理事の司会で開会。冒頭、あいさつした横倉会長は、「自治体病院は、大都会や農村など、さまざまな自治体がある中で、その地域に密着した医療を担っており、その現場の意見は、医師法・医療法改正に伴う地域偏在の解消の問題や医師の働き方改革について議論していく上でも重要である。今後も、継続した意見交換を行っていきたい」と述べ、本懇談会への期待を示した。
続いて、邉見全自病会長が、「このような機会を設けて頂いたことに感謝申し上げる。日本の医療を守るためには、情報発信や政策活動に強い日医の力が必要であり、本懇談会で相互理解を図り協力していきたい」と述べた。
議事では、まず、事務局より本懇談会の趣旨説明と定期的な開催方針の確認が行われた後、「医師の需給と地域偏在」「働き方改革」について、日医及び全自病それぞれの取り組みなどに関して説明が行われた。
全自病からは、医師の需給と地域偏在について、国土面積に対する可住地面積と人口集中地区面積を用いて医療資源量の地域差を分析した結果が示され、「この問題を考えるには、単純に人口に対する医師の数を比較するのではなく、可住地面積を考慮する必要がある」との指摘がなされた他、会員病院を対象に実施した「医師の働き方の実態及び労務管理等に関するアンケート調査」の結果が紹介された。
日医からは、今村副会長が医師偏在対策に対する日医の見解について、参議院厚生労働委員会(5月15日開催)において参考人として意見陳述した内容を報告した他、市川常任理事が、医師の働き方改革に関する厚生労働省及び日医におけるこれまでの経緯を報告するとともに、会内の「医師の働き方検討委員会」が取りまとめた答申について説明を行った。
引き続き行われたフリーディスカッションでは、「地域偏在の解消に向けた取り組み」「若手医師の教育」等についてそれぞれの立場からの意見が出され、最後に、中川副会長が、「本日はさまざまな意見を伺うことができ、非常に有意義な懇談会であった。次回も引き続きよろしくお願いしたい」と総括し、閉会となった。