平成30年(2018年)8月20日(月) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース
平成30年医師会立 助産師・看護師・准看護師学校養成所調査結果まとまる
釜萢敏常任理事
定例記者会見 8月1日
釜萢敏常任理事は、本年5月に実施した「平成30年医師会立助産師・看護師・准看護師学校養成所調査」の結果を公表した。
本調査は、全国の医師会立の助産師・看護師・准看護師学校養成所における入学・卒業状況の実態と経年変化の把握を目的として毎年実施しているもので、今年度は342校から回答を得た。
調査結果の概要は、以下のとおりとなっている。
【学校数】
今年度募集を行った学校数は、准看護師課程177校、看護師2年課程70校、看護師3年課程69校、助産師課程5校。准看護師課程、看護師2年課程は共に減少傾向にあり、看護師3年課程は若干増加しているが、全課程の学校数は5年前に比べ24校減少している。
【入学状況】
○准看護師課程の定員が5年前に比べ1175名減少しており、入学者も2225名減少している。定員割れの状況であり、こうした状態が各地域の養成所に見受けられる。
○看護師2年課程は、准看護師有資格者が入学対象者となるが、准看護師の養成数が減少しているため、2年課程においても受験者、入学者共に減少が続いている。
○看護師3年課程は、合格者、入学者共に、若干増加傾向ではあるが、応募者、受験者が減少している。特徴として合格者と入学者の数に違いがあり、平成30年度の合格者数4767名に対し、入学者数3657名となっており、その比率は76・7%であった。
【最終学歴】
○准看護師課程入学者の最終学歴は、約5割が高校既卒、約3割が高校新卒で、短大卒・大卒は減少傾向にある。中卒はやや増加傾向であるが、高校中退を除いた中卒者の実数は190名であり2・7%であった。
○看護師3年課程は、准看護師課程とは反対に、高校新卒の割合が7割以上で、年々増加傾向にある一方、短大卒・大卒の割合は減少している。
【卒業後の進路】
〇准看護師課程の場合、医師会管内(設立母体である医師会管内の医療機関に就業した者)が28・7%、医師会管外(それ以外の県内の医療機関に就業した者)が14・3%。進学せずに県内の医療機関で就業した者は4割超である。准看護師課程はその性格上、進学率が他の課程と比較して高く、医療機関に就業しながら進学している。
○看護師2年課程と3年課程は、医師会管内が5割超、医師会管外が3割で、合計8割以上が県内で就業している。
○医師会立学校養成所卒業者の県内就業率は高く、地元への定着率が高い。
同常任理事は、今回の調査のまとめとして、「養成所の受験者、入学者の減少が顕著となっており、准看護師課程では平成30年3月に4校が閉校し、6校が募集を停止したため、応募者も減少し、入学者は7000人を割っている」と説明。
今後、背景分析が必要と考えるが、景気の回復や、全業種で見られるように人手不足から採用を強化していることもあり、看護職を目指す者が少なくなっていることが推察されるとした。
一方、医師会立の養成所に関しては「県内就業率も高く、地域の看護職員の確保に多大な役割を果たしているが、実習施設や教員の確保に関する課題、あるいは財政面でも厳しい運営にあることから、入学者の募集停止、閉校が増え出したようにも見える。特に地方の医師会で養成を行わなくなると、その地域の看護職員の確保は一層難しく、地域医療を維持することが困難になる」として、医師会立の養成所が運営を継続できるよう、引き続き基金の確保や規則の柔軟な運用等を厚生労働省等に求めていく意向を示した。
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