閉じる

平成30年(2018年)9月20日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

梅毒患者の増加で注意喚起

定例記者会見 8月29日・9月5日

 平川俊夫常任理事は、昨今、急増が目立つ梅毒について医療従事者及び国民への啓発を求めた。
 同常任理事はまず、梅毒届出件数について、2010年以降、特に都市部を中心に患者が増加し2017年の届出数は5820人であったこと、今年8月中旬時点の報告も昨年度の同時期より増加を認め、今年度末には7000人に達すると予測されていることを説明。
 加えて、厚生労働省によれば、男女共に近年の異性間性交渉による感染が増加し、届出に際しても「性風俗産業の従事歴、利用歴」に関する記載があった件数が、近年、急増していることや、先天梅毒の報告件数も増加している状況にあることから来年にも届出基準等が改正される予定となっていることを報告した。
 その上で、日医としても感染拡大防止、原因究明の観点から、届出事項の更なる見直しについて引き続き求めていくとともに、治療薬(ベンジルペニシリンベンザチン水和物の筋注製剤)の早期承認が望まれるとした。
 更に、「梅毒は全診療科にわたるさまざまな自他覚症状を起こし得る感染症であり、その診断や診療が容易ではないことから現在の状況を国民や医療従事者に広く周知し、適切な医療機関への受診、感染防止のための措置などについて理解して頂くことも重要である」と述べ、本年8月、日本性感染症学会及び厚生労働科学研究班と協力し作成した、『梅毒診療ガイド(ダイジェスト版)』を日医会員に配布していることを紹介。
 また、感染経路として異性間性交渉によるものが増加していることから、梅毒患者診療時に医療従事者からパートナーにも受診を呼び掛けるなどの対応が求められるとした他、梅毒は妊婦健診の検査項目になっており、先天梅毒の増加を防ぐためにも妊娠経過中の厳重な経過観察が必要であると指摘。医療従事者を始め、全ての国民に対しても正確な情報を提供し、一人ひとりに適切な行動変容を促していくことが重要であるとして、「引き続き厚労省や関係学会と協力して取り組んでいく」と述べるとともに、メディアに対しても梅毒の感染拡大防止のための国民への啓発に対する協力を求めた。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる