アジア大洋州医師会連合(CMAAO)マレーシア総会が9月12日から14日まで、マレーシアのペナンで開催され、横倉義武会長(CMAAO会長)、道永麻里常任理事(CMAAO事務総長)、星北斗参与、村田真一弁護士(CMAAO法律顧問)、日医ジュニアドクターズネットワーク(JMA―JDN)のメンバーが出席した。
参加は15医師会(日本、オーストラリア、バングラデシュ、香港、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、ミャンマー、ネパール、パキスタン、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ)、欠席は4医師会(カンボジア、ニュージーランド、スリランカ、マカオ)。世界医師会(WMA)、ブラジル医師会、ラトビア医師会がオブザーバーとして出席し、参加者は総勢約100名であった。
12日の理事会では、道永常任理事がCMAAO事務総長報告を行った。
総会式典は道永事務総長による出席点呼で開始し、マレーシア医師会モハメッド・ナマジー・イブラヒム会長の歓迎あいさつ、横倉会長によるCMAAO会長開会あいさつ、オトマー・クロイバーWMA事務総長の祝辞があった。
横倉会長のCMAAO会長報告では、この1年間、日医会長、CMAAO会長、WMA会長と三つの会長職を務め、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進を目的とした活動に注力してきたことを述べた。第36代CMAAO会長(2018―2019年)には、ラビンドラン・ナイデュ マレーシア医師会前会長が就任した。
カントリーレポートでは、道永常任理事が「日本医師会の役割と将来のビジョン」と題し、健康日本21、日本健康会議、糖尿病対策推進会議等を通じた健康づくりの取り組み、健康寿命の延伸、健康増進と福祉の向上、社会格差をなくすための医師会の役割、地域医療におけるかかりつけ医を中心とした医療と介護の連携について紹介した。
13日には、武見太郎記念講演として、ノア・イシャム・アブデュラ マレーシア保健局長がマレーシアの医療事情とUHCについて講演を行い、横倉会長からコメント及び記念の盾が贈られた。
その後、「プライマリケアとUHC」と題し、クロイバーWMA事務総長より、10月のアルマアタ宣言採択40周年を記念して行われる「プライマリヘルスケアに関する国際会議:アルマアタからUHCとSDGsに向けて」に関して、プライマリケアは医師が主導すべきであるという論点からの特別講演が行われた。
引き続き、「UHCへの道」をテーマにシンポジウムが開催され、各医師会から発表が行われた。
横倉会長は、人口問題、死因の推移、がん対策など日本の現状を紹介し、東京で開催された「UHCフォーラム2017」で、UHCへの進展を加速するため、「東京宣言」が採択されたこと、WMA会長として2018年4月、UHCの推進と緊急災害対策の強化を目的とした覚書をテドロスWHO事務局長との間で締結したことを報告した。
14日の総会では、冒頭、クロイバーWMA事務総長の先導により参加者全員でWMAジュネーブ宣言を唱和した。
議事では、議長、副議長、財務担当役員に各医師会代表であるCMAAO理事以外からも選任できる定款施行細則の修正案と共に、シンポジウムの成果物として、「UHCに関するCMAAOペナン決議」が採択された。
その他、道永常任理事は母子手帳の普及に関して、日医がWMAに提出している「WMA母子健康手帳の開発と普及に関するWMA声明案」への支持を呼び掛けた。
また、菅波茂AMDA代表からは、WMA災害医療ネットワークに関する説明が行われ、まず、災害の多いCMAAO地域で取り組みを開始し、その結果をWMAと共有していく必要があるとの考えが示された。
今後の予定としては、2019年の総会はインド医師会、2020年総会は台湾医師会、2021年総会はパキスタン医師会がそれぞれ主催することになった。
会期中、「平成30年7月豪雨」「平成30年北海道胆振東部地震」の被災地に対する支援として、台湾、台北市の両医師会の会長を務める邱泰源会長から、義援金150万台湾ドル(約546万円)が横倉会長に寄贈された。
また、横倉会長は、クロイバーWMA事務総長の要請により、9月28日の「世界狂犬病デー」に、狂犬病の撲滅を求めたWMA会長としてのメッセージを寄せた。
このメッセージは、世界獣医師会とWMAの共同プレスリリースとして公表された他、WMAの所在する地元ラジオ局の番組で放送された。