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平成31年(2019年)2月5日(火) / 日医ニュース

日医医師賠償責任保険制度の充実に向けて意見交換

日医医師賠償責任保険制度の充実に向けて意見交換

日医医師賠償責任保険制度の充実に向けて意見交換

 平成30年度都道府県医師会医事紛争担当理事連絡協議会が昨年12月13日、日医会館小講堂で開催された。
 担当の城守国斗常任理事の司会で開会。冒頭のあいさつで横倉義武会長(松原謙二副会長代読)は、まず、46年目を迎えた日医医師賠償責任保険(以下、日医医賠責保険)制度や、医療事故調査制度における「支援団体」としての取り組みに対する各都道府県医師会の担当役員の協力に謝意を示した。その上で、「平成30年4月から勤務医・研修医の医賠責保険料改定に伴い、会費の引き下げを行った結果、初年度から確実に若手勤務医の加入が増えている」とし、会費引き下げ後の加入状況を具体的な数字を交えながら紹介。「各都道府県医師会から大学や病院へ働き掛けて頂いたことが加入促進に有効であった」として、一層の協力を求めた。
 更に、「日医医賠責保険制度は会員にとって、不幸にして医療事故が発生した際の『安心の支柱』である」と強調し、より多くの会員が安心して医療が行えるように引き続き努力していく考えを示した。
 続いて、担当事務局から、日医医賠責保険制度の運営に関する経過及び同制度における介護医療院の取り扱いについて説明が行われた。
 次に、前田順司甲南大学法科大学院教授(元東京高等裁判所部総括判事)が「医事紛争と民事責任―医療過誤訴訟の審理構造と判断構造―」と題し、医療機関が民事訴訟を起こされた場合の流れや判断基準、難解な専門用語等について解説。
 同教授は、「改正民法が2020年4月に施行予定となっている。医療過誤の判断構造は従前と変わらないとされているものの、今後の裁判例が注目される」と述べ、民法改正の影響を注視していく必要があるとした。
 その後、日医参与である畔柳達雄弁護士が「医療紛争と刑事責任―『重大な医療事故』と『刑事責任』及び『損害の塡補』」と題し、弁護士視点での医療事故の見方やデータから見る刑事医療裁判についての歴史的経緯や現況を説明した。
 同弁護士は、「医療紛争が最もこじれるのは、医療機関が逃げた場合である」と指摘した上で、「責任を持って話をできる立場の者が、正面に立って対応を行うことが重要である」と強調した。
 神奈川・富山・福岡・愛知の4県医師会からの質問並びに意見・要望事項では、(1)日医医賠責保険制度における長期事案の終了報告書の提出時期、(2)100万円免責部分の取り扱い、(3)裁判所への意見書提出の際のサポート体制、(4)医療事故調査制度における地方協議会に係る経費の取り扱い―等に関する意見・要望に対し、城守常任理事からそれぞれ回答を行った。
 続いて同常任理事が、医療事故調査制度に関する報告として、同制度開始からこれまでの報告件数や相談件数など、医療事故調査・支援センターが公表しているデータ等を基に現状を説明。現在は一日に約1件のペースで報告が行われており、病床数が多いほど報告件数が多い傾向にあるとした。
 また、2019年10月から実施予定の医療事故調査費用保険の見直しについても説明を行い、①対象医療機関(会員)の拡大②保険金支払費目の拡大―から成る見直し内容を紹介した(別記事参照)
 出席者は89名で、テレビ会議システムにより18県医師会にも中継を行った。

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