「子育て支援フォーラムin栃木」が3月23日、宇都宮市内で行われた。
本フォーラムは、平成23年度より、公益財団法人SBI子ども希望財団、都道府県医師会と共に、児童虐待防止に向けた啓発活動・情報提供を行うことを目的としており、今回が通算30回目の開催となった。
冒頭あいさつした横倉義武会長(平川俊夫常任理事代読)は、「虐待という悲劇を繰り返さないためにも、その根底にある社会的な要因に目を向け、社会全体で強い危機感を持ち、できるだけ早期に把握し、適切な対応を行うことが必要である」とし、本フォーラムが、幼い命を虐待から守るための第一歩になることに期待感を示した。
引き続き、太田照男栃木県医師会長があいさつに立ち、「多職種の連携により、虐待を予防していくことが重要になる。そのためにも、先ごろ閣議決定された児童虐待防止法並びに児童福祉法の改正案が早期に成立することが望まれる」と述べた。
シンポジウムでは、まず、相澤仁大分大学福祉健康科学部教授/日本子ども虐待防止学会理事が、家庭養護を推進していくには里親を増やすことが求められるとし、そのための方法として、①市民の理解を深める②関係機関が連携する③里親の方にも研修を受けてもらう④フォスタリング機関(里親養育包括支援機関)の設置を促進する―ことなどがあると指摘。その上で、最も重要なこととして、子どものニーズにマッチした養育支援を提供するとともに、我々が一丸となって家庭養護のステップアップを継続的・積極的に図っていくことを挙げた。
塩田規子社会福祉法人救世軍世光寮副施設長は、児童養護施設を取り巻く現状として、「約3万人の利用者がある」「ケアの個別化のため、施設の小規模化が進んでいること」などを説明。自身の施設における支援方法については、「安全で安心な生活の提供」「愛着の修復や再形成」など、10の事項を意識しながら、子ども一人ひとりに合った支援を行っているとした。
獨協医科大学病院地域連携・患者サポートセンターの医療ソーシャルワーカー(MSW)の戸田怜奈氏は、①虐待(疑い)発見時にはMSWへ連絡するというルールづくりをしている②要保護児童院内連絡会議を月1回開催している他、速やかに事例に対応するため、「実務者会議」を設置している―ことなど同大学病院における対応を報告。
また昨今、妊婦健診を未受診のままに、飛び込み出産する女性が増えているとし、その防止策として、「一緒に考えてくれる支援者へつなぐことや、早期からの性教育・妊娠教育、妊婦健診の重要性を周知することが必要になる」と述べた。
君島健一栃木県南児童相談所長は、児童虐待通告を受けた後の子どもの安全確保までの流れを解説した上で、虐待への対応や未然防止のためには、関係機関との連携、役割分担が重要になると指摘。虐待を見過ごさないためにも、①虐待はどの家庭でも起きる②違和感、何か変だという気づきが大切である③しつけと虐待は違うものである―ことを心に留め、「行動を躊躇(ちゅうちょ)させてしまう自分自身の反応を自覚し、虐待に向き合うべきだ」と述べた。
その後の総合討論では、参加者とシンポジストとの間で活発な質疑応答が行われ、フォーラムは終了となった。