厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」が3月28日、厚生労働省で開催され、日医からは今村聡副会長、城守国斗常任理事が出席した。
当日は、これまで22回にわたって議論した結果を踏まえて、2024年度に義務付けられる医師の時間外労働上限規制等などを盛り込んだ報告書案が示され、了承された。
時間外労働時間の上限は原則を年960時間とし、地域医療確保の暫定特例水準(B水準)や集中的技能向上水準(C水準)では、特例として、1860時間を認めるとしている。
B水準として特定されるのは、「3次救急医療機関」「2次救急医療機関のうち、『年間救急車受入台数1000台以上または年間の夜間・休日・時間外入院件数500件以上』かつ、『医療計画で5疾病5事業確保のために必要と位置付けられた医療機関』」「在宅医療において特に積極的な役割を担う医療機関」など、地域医療確保のための必要な医療機関のうち、「労働時間短縮に十分に取り組んでいる」「労働法令違反がない」などと認められる医療機関に限定。ただし、B水準は2035年度末までには、その特例を解消するとされている。
前回の検討会では、2035年度で特例を廃止することを法令上、明記すべきとの意見も出されたが、本報告書案では、「医師偏在対策の実施状況等を踏まえて2035年度末をめどに廃止することについて、検討を行うことを法令上明記する」とされ、あくまでも検討を行うことを法令上に明記することになった。
C水準は、初期臨床研修医・新専門医制度の専攻医(C―1)や高度技能獲得を目指す医師(C―2)は、症例を短期間かつ集中的に経験する必要があることから、一定程度の長時間勤務を認めるために設けられたもので、米国のACGME(卒後医学教育認定評議会)の研修医労働時間(年間1920時間制限)を参考に、B水準と同じく「年間1860時間以下」とすることが決まったものである。
厚労省では今後、新たに設定されるB水準の医療機関が労働時間短縮などに取り組んでいるかを評価する組織のあり方、C―2となる高度技能の範囲、医師からの計画を審査する組織のあり方、「追加的健康確保措置(産業医等による面接に基づく必要な措置に加えて行われる措置)」の具体的内容、「宿日直許可基準の現代化」「副業・兼業の取扱い」などについて議論することになっている。
今村副会長は今回の取りまとめを受けて、「これまで一般労働者と同じ扱いになっていた医師について、その業務の特殊性が認められたことの意義は大きい」とするとともに、B水準については、2035年度末までに解消できるように医療界が一丸となって最大限努力するとの考えを示した。
※今回の報告書に対する日医の詳細な見解については、「『日医君』だより」並びに、4月3日の定例記者会見の模様と共に本紙5月5日号に掲載する予定。