松本吉郎会長は4月11日に総理官邸を訪れ、岸田文雄内閣総理大臣と会談を行い、昨今の光熱費等の物価高騰による影響を踏まえた医療従事者の賃上げや、労働環境の改善などを強く求めた他、日本医学会総会開会式への臨席を依頼した。 |
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会談ではまず、松本会長が4月21~23日に東京会場及びWEBで開催される「第31回日本医学会総会2023東京」の開会式への臨席及びあいさつを岸田総理に依頼。併せて、今回のメインテーマは「ビッグデータが拓く未来の医学と医療~豊かな人生100年時代を求めて~」で、本格的な東京での開催は24年ぶりとなること等を紹介した。
これに対して、岸田総理は、国会等の動向次第とした上で、「ぜひ出席できるよう調整したい」と述べ、参加に意欲を示した。
次に松本会長は、今般の世界的なインフレによる光熱費・食料品等の価格高騰対策として、地方交付金に7000億円(推奨事業メニュー分)の積み増しが行われたことに謝意を示した上で、政府の方針に沿って産業界で賃上げが進む中、労働力人口6900万人の約12%に当たる医療・介護従事者約800万人についても、賃上げの実現に向けた対応が必要であると説明。「診療報酬・介護報酬という公定価格により運営する医療機関等は、物価高騰、賃上げを価格に転嫁することができず苦心している。賃上げなどの対応を行うためには十分な原資が必要である」と述べ、令和5年度における緊急的な措置と、令和6年度のトリプル改定における配慮を強く要請した。
物価高騰には機動的な対応を行う―岸田総理
岸田総理はこれらの要請に対し、物価高騰などには機動的な対応を行うとするとともに、医療従事者の賃上げについては、まずはしっかりと受け止め、国民負担とのバランスや患者の受診動向を踏まえながら、政府としてどういった対応ができるか検討していくとした。
また、松本会長は令和6年4月より施行される医師の働き方改革によって、医師の時間外労働に対して上限規制が適用されることに触れ、医師の働き方改革を進めるに当たっては、「地域医療の継続性」と「医師の健康への配慮」の二つを両立させることが重要であると説明。
更に、現状でも厳しい人員状況にある中で、各大学病院等から各地域の医療機関に派遣されている医師が引きあげることになれば、特に産科・救急に影響が及ぶ懸念があるとした上で、「地域の産科・救急が回らなくなれば、大きな社会問題になる恐れがある。賃上げ等を含めた労働環境の改善により、地域における産科・救急医療機関が減ることがないような対応をお願いしたい」として、岸田総理に理解を求めた。
岸田総理はこの点についても一定の理解を示し、仮に懸念が現実になった場合に政府として何ができるのかも併せて考えていくとした。
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