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令和元年(2019年)6月20日(木) / 日医ニュース

有事に備え、防護資機材の知識の向上を目指して

有事に備え、防護資機材の知識の向上を目指して

有事に備え、防護資機材の知識の向上を目指して

 「危機管理フォーラム2019」が5月19日、日医会館大講堂で開催された。
 本フォーラムは、東京オリンピック等を控え、必要な防護資機材に関する講演並びに説明展示を行うことで知識を深めてもらうことを目的として、NBCR対策推進機構〔N(核)、B(生物)、C(化学)、R(放射能)災害から地域の安全を守ることを目指し、災害対策の知識・防護資機材の普及に努めるNPO法人〕と共に、初めて実施したものである。
 開会あいさつを行った片山虎之助NBCR対策推進機構会長は、「危機管理には多方面、他分野の協力が不可欠であるが、その要となるのは医療と考えている」と強調。「今回のフォーラムでさまざまなことを学び、多くの成果を上げて欲しい」と述べた。
 引き続きあいさつした横倉義武会長(石川広己常任理事代読)は、ラグビーワールドカップ2019、東京オリンピック・パラリンピックについて、「医療界を挙げて万全な対策を取らなければならない」とした上で、本フォーラムがわが国の危機管理能力の向上につながることに期待感を示した。
 講演ではまず、石川常任理事が日本ではCBRNEテロ災害に対するスキームが確立されておらず、その対応力を高めることが大きな課題になっていると指摘。その解決のためにも、各医療機関を取りまとめ、専門機関との連携を図る役割を果たすことのできる医師会が関わりをもつ意義は大きいとした。
 今後については、会内の救急災害医療対策委員会で検討を重ねていくとした他、7月の「マスギャザリング災害(CBRNEテロ含む)対策セミナー」の開催などを通じて、個々の医師、医師会の対応力向上に努めていく考えを示した(写真上)
 山口芳裕杏林大学教授は、現場で生命を守るために必要な防護資機材として止血帯(ターニケット)を挙げ、構造や使用法(①巻いた時間を必ず記入する②あくまでも生命に関わる場合に使用)などを解説。その普及に向けた協力を求めた。
 伊東克巳NBCR対策推進機構特別顧問は、テロなどの災害発生から通報までの間に民間の力が必要になるとした上で、医療機関を含めて、企業が備えておくべき資機材として、防護服、IP電話など情報収集のための資材、検知器、除染装置、予備電源を挙げるとともに、「防災管理者が中心となって、その準備を進めて欲しい」と述べた。
 中村順総合安全工学研究所事業部長は、昨今の爆発物テロの特徴として、①市販品で容易につくれる手製爆薬の使用が増加②インターネット上で情報交換をしており、いつ、どこで発生するか予測が不可能―などがあると指摘。テロを防ぐためには、爆発物原料の管理強化(ネット購入対策等)、官民一体となった対策が必要になるとした。190620f2.jpg
 四ノ宮成祥防衛医科大学校防衛医学研究センター長は、テロを含むバイオ災害について、医学的な対処法を考えていく上でも過去の事例を知っておくことは重要なことだとして、生物兵器開発の歴史や生物テロの事例、ワクチン開発の際の感染事故例などを紹介。現在では、情報と技術さえあれば、危険なウイルスを人工的に合成できる段階に来ているとして、規制の必要性を訴えた。
 なお、当日は17の企業から防護資機材に関するプレゼンテーションがあった他、1階ロビーにおいて機材展示も行われた(写真左)

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